日本ハム中田翔内野手(31)が、日本復帰登板のマー君から今季初アーチをマークした。20日、楽天との練習試合(金武町ベースボールスタジアム)の初回、田中将大投手(32)から左中間芝生席へ先制3ランを放った。田中将からの本塁打はプロで初対戦した10年8月8日以来3849日ぶり。8年ぶりに再戦するシーズンで幸先のいいスタートも、一喜一憂せず、警戒感をさらに強めた。

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中田は宿舎で起きた瞬間から思った。「嫌だなぁ」。キャンプ地の名護から金武までのバス移動の約30分間も「嫌だなぁ」。モヤモヤが止まらないのは、通算打率1割8分5厘と苦手としていたマー君が相手だから。だが初回1死一、二塁。「すごく大きく感じた。すごくオーラがあった」という田中将が投じた5球目だった。

中田 スライダーだと思う。しっかり芯に乗っていたので飛んでくれるかなと思った。完全にタイミングは外されていたけど、運がよかった。たまたま。

体勢を崩されながらも、打球は左中間芝生席へ着弾した。実戦3試合6打席目で飛び出した今季初安打が、天敵からの3ランとなった。

3回に途中交代すると、2回で降板した田中将と出くわした。

中田 田中さん、お久しぶりです。

田中将 打つなよ!

中田 たまたまです。

恐縮した中田だが、マー君によれば「余裕の笑みで、あいさつされました」。プロで初対戦した10年以来11年ぶりに田中将から放ったアーチは、やはり格別のものだったのか-。

中田 いや、田中さんも6割くらいでしか投げていないと思う。今日打っても、正直何も喜びはない。シーズンに入ったら、こんな(甘い)ところに投げてくれないよなって思いながら(ダイヤモンドを)1周していたので。

田中将の本当のすごみを知る中田はシーズンへ向けて、より警戒感を強めていた。3球目に見逃したスプリットについても「今日は外に外れていて見逃せたけど、シーズンに入れば、もっといいところに落とされるよ」と過去も含めて振り返った。

それでも、覇権奪回には打ち勝たないといけない相手。「(対戦する日は)毎朝、嫌な気持ちになるんだろうな…」と嘆きながらも「だからこそ、ここぞの1発が大事になる」。不動の4番は力強く言った。【木下大輔】