不惑のベテランが球団史に名を刻んだ。ソフトバンク和田毅投手(40)が6回2/3を4安打無失点で今季初勝利。チームでは91年今井、01年長冨に次ぐ20年ぶり3人目となる40代投手の白星をつかんだ。

和田 それだけ長く野球をやらせてもらっている。40になってますけど、もっともっと勝っていきたいなと思います。

元五輪戦士の左腕は、145キロ前後の直球を軸にオリックス打線を翻弄(ほんろう)した。「相手(先発)は山本君ということで1点勝負になると思った。自分が0で抑えれば負けることはないという気持ちで投げました」。左腕で48歳まで現役だった工藤監督も「もう何もいうことはないです」と最敬礼だ。

「松坂世代」のひとりとして腕を振ってきた。昨季限りで同世代3人が引退し、残る現役選手は西武松坂と2人だけ。その松坂は2月に脊椎内視鏡頸椎(けいつい)手術から復帰するも、リハビリ生活が続いた。春季キャンプで好調を維持していた和田は、故障で悩む松坂を思いやり、あえて自分からは連絡しなかった。盟友の焦る気持ちは誰よりも理解していた。だからこそ、松坂の分まで腕を振ってきた。この日も7回途中に左足をつるまで、マウンドに立ち続けた。お立ち台では左足の状態について「お恥ずかしい。なんてことないです」と、大事ではないことを強調した。

対オリックス戦は通算29勝8敗とし、現役投手では最多。チームも首位楽天に0・5差に詰め寄った。「今日は熊本地震から5年なので九州のチームとして絶対勝ちたかった。いいゲームができて本当に良かった」。40歳和田が、優しく目尻を下げた。【只松憲】

▼ソフトバンク和田が今季初勝利。和田は2月に40歳になったばかり。ソフトバンクで40歳シーズンに勝利投手になったのは、01年長冨浩志(40歳)以来20年ぶり。球団ではほかに06年吉田修司(40歳)、92年新浦寿夫(41歳)、91年今井雄太郎(42歳)が40代シーズンに登板しているが、白星を挙げたのは今井、長冨に続き和田が3人目だ。

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▽ソフトバンク甲斐(6回、中前にしぶとく運ぶ適時打) 和田さんが抑えてくれていたので、何とかもう1点を、とその気持ちだけでした。

▽ソフトバンク中村晃(6回の中前タイムリーに) 少ないチャンスの中、何とか追加点となる1本を打つことができてよかった。