エース同士の対決を、またしても制した。日本ハム上沢直之投手(27)が8日、楽天8回戦(札幌ドーム)で自身3連勝となる3勝目を手にした。田中将大投手(32)とは4月17日以来、今季2度目の先発対決で、援護を受けた上沢が再び勝利した。7回4安打1失点の好投で、チームを3連勝へと導いた。

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ほえたのは、上沢だった。3点リードの6回2死二、三塁。初めて得点圏に走者を背負うピンチに、一層力が宿った。迎えたのは、前打席でソロを浴びた茂木。「絶対、抑えてやるんだと思っていました」。低めを徹底し、痛打を警戒しながら4球目。142キロフォークで空振り三振を奪うと、たまらず小さく跳びはね、両手をたたいた。

楽天田中将と、今季2度目の先発対決。ほえる姿が印象的な相手エースに代わり、気迫をむき出しにした。7回4安打1失点で3勝目。「本当に先に点を取ってもらったことが、気持ち的にも大きかった」と味方打線に感謝した。田中将との投げ合いは4月17日以来。前回に続き、今回も上沢に軍配が上がった。「たまたま」と謙遜も、同一シーズンで田中将に連勝したのは09年9月3日、同25日の帆足(西武)以来、12年ぶりとなった。

コロナ禍でプロ10年目で初めての体験を強いられた。新型コロナウイルス感染者が続出し、2日に1軍は活動停止。上沢は1日西武戦に先発後、翌日に活動停止を受けたため「投げた翌日から4日間、キャッチボールもしないというのは初めて」と、満足に調整出来ないまま臨んだ。「(マウンドで)うまく体を動かせない感じはあった」と初回に違和感を覚えたが、攻守に助けられ、今季最長タイ7回を投げ抜いた。

栗山監督は「絶対的な信頼を持って、マウンドに行ってもらっているのは間違いない」と、揺るぎない思いを託している。チームは3連勝。首位楽天との直接対決に連勝し、最下位ながらゲーム差3・5に縮めた。上沢は「今いるメンバーで全力で戦っていきますし、僕も勝利に向かって1球1球、全力で投げていきたい」とヒーローインタビューで誓った。エースが信念を貫く限り、勝利の瞬間が待っている。【田中彩友美】

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