レジェンドはやはり、甲子園球場に愛された。2年ぶりに開催された「日本生命セ・パ交流戦」で、2年前は阪神の顔だったロッテ鳥谷敬内野手(39)がひと振りで輝いた。603日ぶりの聖地で、7回に代打で登場。大勢の虎党からも応援される中、見事な適時打で今季初打点を挙げた。勢いに乗ったチームは、8回にレオネス・マーティン外野手(33)が逆転15号2ラン。鳥谷がセ首位に立つ古巣撃破への道しるべになった。

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鳥谷はロッテに電撃入団した直後の20年3月、12歳下の藤岡に伝えている。

「レギュラーはオマエなんだからな。だから焦ったりせずに、オレをうまく使ってくれ」

突然の遊撃レギュラー争いに後輩が戸惑わぬよう、丁寧にかけた言葉からも決意が見え隠れした。

「自分だけが良くても仕方がない。チームを勝たせるために入ったのに、チームをかき回したくない」

それは偽らざる本心に聞こえた。

ロッテとの入団交渉が最終局面に突入していたころ、レジェンドは球団側に申し出ている。

「もし競争させてもらって必要ないとなれば、1年間、2軍でも構いません」

チームに貢献できるのであれば、どんな役割も全うする覚悟がある。久方ぶりの甲子園。もちろん、勝利に勝る喜びはないはずだ。【遊軍=佐井陽介】

▼ロッテ鳥谷は交流戦が始まった05年以降、新型コロナウイルスの影響で中止となった昨年を除き、全16シーズン出場となった。交流戦初年度から出場シーズンを継続しているのは、この日出場したヤクルト内川のほか、ヤクルト石川、楽天涌井、西武栗山がいる。

▼鳥谷が安打を放ち、交流戦通算最多安打を332本とした。通算最多試合は339試合目。