首位阪神が最下位広島に逆転負けした。ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)は5回の満塁機、9回の同点機でともに空振り三振で、プロ野球記録に並ぶ1試合5三振を記録した。新人左打者最多の20号に王手をかけてから10試合アーチがなく、12残塁の拙攻を象徴する1人となった。リーグ戦再開後、チームは5勝9敗1分けで3カード連続勝ち越しなし。首位を走ってきた虎が、苦境に立たされた。

     ◇     ◇    ◇

屈辱だった。佐藤輝が悔しさを押し殺すようにうつむいてベンチへ戻った。1点ビハインドの9回1死一、二塁。守護神栗林に3球で追い込まれると、フォークに左膝をついて食らいつき、ファウルで逃げた。その後2球フォークを見切ったが最後、わずかに浮いてきたフォークはバットの下を通過。1試合5三振でプロ野球記録に並んだ。

リーグ4位の19本塁打の技術とパワーが持ち味ながら、長打と三振が表裏一体の粗削りな面がある。矢野監督は「三振というのは結果だから、初めから小さくスイングしろとかはない」とした上で、期待と激励を込めて続けた。

「チャンスでかえすバッティングを身につけていくことが勝たせるバッター、より良いバッターになっていく。『思い切っていきながら対応できる』というものを身につけていくのは、あいつの中でも感じ取っていると思う。現状では仕方ないのかなと。もちろん何とかしてほしいというのはある」

佐藤輝は4回1死一塁の守備で林の右前打にチャージし、三塁へワンバウンドのストライク送球。強肩で一塁走者をタッチアウトに仕留めた。中継プレーを介した補殺はあったが、ダイレクト送球ではプロ初。ただ、守備での勢いを打席には生かせなかった。

前日3日に3安打し「いくつか細かい部分はありますけど、一番は構え」とフォームを微修正したと明かしていたが、バットは空を切り続けた。森下には3三振、7回にはフランスアに空振り三振。とりわけ5回は無死満塁で、マルテの一邪飛に続いて空振り三振。その後大山も三ゴロで無得点に終わり、直後に逆転を許した。

好機にあと1本が出ず、矢野監督は「火曜日に関してはリュウ(梅野)をちょっと上げて、悠輔(大山)を1つ下げてと思っている」。6日ヤクルト戦(神宮)から6番梅野、7番大山とする打線改造を示唆した。ナイターで2位巨人も敗れたため1・5ゲーム差は変わらないが、正念場は続く。球宴まで残り9試合。一丸となって踏ん張るしかない。【中野椋】

阪神ニュース一覧はこちら―>