トップをブッチ切るぞ! オリックス高卒2年目左腕の宮城大弥投手(19)が、8回5安打2失点で12球団トップの9勝目を挙げた。113球の力投で山賊打線をソロ本塁打2本に抑え、今季の対戦成績を4戦4勝。チームは引き分けを挟んで5連勝で、40勝にリーグ一番乗り。貯金を今季最多の11に伸ばし、2位楽天と4ゲーム差に広げた。

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堂々と胸を張り、ベンチに引き揚げた。1点差の8回2死一、二塁で西武源田を10球目スライダーで二ゴロに仕留めると、宮城はグッと左拳を握った。113球を投げてこの回でお役御免となり、「だいぶ疲れましたね…」と苦笑い。12球団最多の9勝目にも、2回の中村、3回の外崎にソロを浴びていた。「2本とも甘く入ったボールが打たれた。打たれて気がつくより、打たれる前に気がついて、修正できたら」。勝った直後から高い目標を設定。緊張で常に小走りでマウンドを降りていた昨年からの成長ぶりが著しい。

西武に今季4戦4勝。猫好きの宮城が“獅子キラー”として君臨している。前回6月27日西武戦(京セラドーム大阪)では栗山、源田に死球を与えるなど制球が荒れた。内角を突くのは「気持ちで負けたら終わり」の信念から。中6日の登板間隔で「瓜野ブルペン捕手に左打席に立ってもらった」と調整を施した。

防御率1・96はチームメート山本の1・94に続いてリーグ2位。「由伸さんに『防御率が自分より良かったら、しゃべらない』と…」。一瞬、ほおを緩ませた後、すぐに真剣かつ不敵な笑みに変えて言った。「頑張って(防御率を)抜きたい。1週間後に抜いて、しゃべれなくしたい。いつもいじられているんでやり返したい」。2人のハイレベルな競争はチーム成績に相乗効果として現れている。

チームは5連勝で、ともに7年ぶりとなる貯金11、リーグ最速40勝に到達した。中嶋監督は1点差勝利に「まだまだ発展途上。競ったゲームは野球の内容を進化させてくれる」と気を引き締める。

試合後、宮城は球団スタッフから渡された新幹線の切符を握りしめた。移動中は「眠くなる。何度かリズムを作って寝てます」。小雨の中、ワイシャツ姿でチームバスに小走りで乗り込んだ。中身はあどけない19歳。誇らしくトップを走り抜ける。【真柴健】

▼19歳10カ月の宮城が今季9勝目を挙げた。今季の黒星は交流戦の阪神戦で、パ・リーグ相手には7勝0敗となった。宮城は1年目に1勝しており、これがプロ通算10勝目。10代のうちに通算10勝に到達したのは14年6月25日大谷(日本ハム=19歳11カ月)以来で、左腕では90年9月11日今中(中日=19歳6カ月)以来、31年ぶり。オリックスでは、阪急時代の57年3月31日米田(19歳0カ月)以来になる。大谷は10代では10勝止まりだったが、宮城は20歳の誕生日(8月25日)まであと何勝上乗せできるか。

▼オリックスが40勝に到達。2期制時を除き、オリックスのパ・リーグ40勝一番乗りは67、71、72、84、89、95、97、14年に次いで9度目。過去8度の最終順位は優勝5度、2位3度だが、今年はどうなるか。