リーグ優勝の一足先に“セ界制覇”を達成した。ヤクルト清水昇投手(25)が、8回に2番手として登板し、2/3回を無失点。49ホールドポイント目を挙げた。2位の阪神岩崎は41ホールドポイントで残り8試合。逆転される可能性がなくなったため、2年連続の最優秀中継ぎのタイトル獲得が確定した。清水ら投手陣の粘りでチームは引き分け。優勝マジックを7に減らした。優勝決定は最短で19日、阪神との直接対決だ。

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1人の力ではたどり着けなかった。清水は8回、先頭の石岡を空振り三振とすると、続く京田は遊撃の失策で走者を許した。犠打で送られ、2死二塁としたところで、3番大島を申告敬遠。2死一、二塁でマウンドを降りた。3番手のスアレスが無失点で締めてくれて、49ホールドポイント目。「チームみんなでつないで僕に回ってくる。そういう面では野手のみなさんや、先発、他の中継ぎピッチャーにも感謝の気持ちがある」と仲間を思った。

1人の時間が安定感を生んだ。今季から散歩やランニングを日課にした。本拠地神宮での試合のときは早く球場入り。ビジターのときは、球場や街中を走ったり、歩いたりする。「広島であったら原爆ドームだったり、横浜だったら中華街の方に行ったり、球場走ったり。東京ドームであればコンコース走ったり。大阪だと京セラドームまで」。名古屋遠征中は、宿舎から名古屋城まで歩いた。「気分転換もあるし、リセットする時間にしている。昨日の反省だったり、いいピッチングをどう続けようか考えている」と説明した。

下半身を鍛えるときもある一方で、疲労が残っているときはのんびり散歩。とにかく自身を見つめる時間をつくるようにした。「歩いたり、ランニングしたりあまり好きじゃないですけど、今年やりだして、体の状態もいいですし、本当にいい時間の過ごし方をできている」とうなずいた。

今季はすでに67試合に登板。首位を走るチームで、大車輪の活躍を見せている。中継ぎという役割だからこそ、バトンリレーに徹する。登板するごとに優勝へと近づいていく。「自分はチームのパーツとしか思っていない。つないでくれたものを僕もつなぐ。任されたイニングだったりバッターに集中して、抑えることだけを意識してやっています」。ヤクルトには頼もしい中継ぎ王がいる。【湯本勝大】

◆清水昇(しみず・のぼる)1996年(平8)10月15日、東京都生まれ。帝京では1年秋からエースも甲子園出場なし。国学院大ではリーグ戦通算13勝を挙げ、日本代表にも選出。18年ドラフト1位でヤクルト入団。19年6月1日DeNA戦で初登板。20年は30HPを挙げて最優秀中継ぎ投手。今年7月1日阪神戦で通算100試合目でプロ初勝利。今季推定年俸3600万円。180センチ、84キロ。右投げ左打ち。

▼ヤクルト清水が今季46ホールド目を挙げ、3救援勝利と合わせて49HP。41HPで2位の岩崎(阪神)が残り8試合のため、2年連続最優秀中継ぎのタイトルが確定した。 HPのシーズン最多記録は10年浅尾(中日)の59で、ホールドは10年浅尾の47。清水は浅尾の持つ47ホールドのプロ野球記録へあと1に迫った。また、清水の活躍もあり、今季のヤクルトは141ホールド(HPは162)。19年阪神がマークしたシーズン145ホールドのセ・リーグ記録更新も近づいている。