「0」を続けて、優勝の望みをつないだ。

早大は楽天からドラフト6位指名を受けた西垣雅矢投手(4年=報徳学園)が明大打線を8安打無失点に抑え、今季2度目の完封勝利を挙げた。安定感抜群の右腕は5試合で30イニング連続無失点とし、他力ながら最終週の早慶戦での優勝を描く。

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最後は9回2死一、三塁を捕飛で切り抜けた。西垣は駆けてきた仲間を笑顔で出迎えた。「ある程度、思ったところにコントロールできました。打者を見ながら、そんなに打たれることはないなと」と頼もしかった。3年ぶりの無四球完封でポイントによる勝ち点を5とし、立大に続く単独2位に浮上。他力ながら、最終週の早慶戦での逆転優勝を描ける位置につけた。

宝刀フォークがさえた。身長184センチからの落差で明大の打者に空を切らせた。かと思えば、初回1死一塁では、ヤクルト2位指名の丸山に対しフルカウントから外のゾーンに意図して収め、見逃し三振。「何も変えてませんが、相手を見て、ここに投げたら打たれないなと」と繰り返した。奪った三振は11を数えた。

開幕の立大戦に7回3失点で敗れたことが転機だった。「140キロ台後半を出しても打たれる。何かを変えないと」。8月の巨人2軍とのオープン戦では自己最速150キロ。だが、シーズン最初に打たれ、球速よりも制球の重要性を思い出した。そこから「0」を続け、ついに防御率は1を切った(0・77)。早慶戦が優勝をかけた大一番となることを信じ「最後に勝たないと意味がありません」と浮かれなかった。【古川真弥】

▽早大・小宮山悟監督(142球完封の西垣に)「(交代は)全く考えなかった。この勝負をやる、と。こういう経験を何度もして、一人前の投手になれる。いい形で早慶戦を終えて、プロに送り出したい」

▽早大・中川卓也内野手(7回に決勝の3点適時二塁打)「前の打席はチャンスで三振。西垣さんが頑張っていたので、なんとか1点、最低でも犠飛と思って打ちました」