日刊スポーツ東北版で、毎週木曜に楽天情報をお届けする「週刊イーグルス」。第27回は毎月1回連載、今季最後の大村三郎ファームディレクター(FD、45)インタビューです。10月11日から続くみやざきフェニックス・リーグの現状やオフの過ごし方、来季の新人選手への期待などを聞きました。【取材・構成=桑原幹久】

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【投手】

-育成の小峯新陸(19)が19日広島戦で7回無失点

80球にまとめて、スターターとして成長している。三振もとれるし、コントロールで乱れる感じもない。僕は先発ではゴロで打ち取れるタイプが好き。三振もいいけれど最低3球以上はかかる。ゴロなら1球で終わる可能性もあるから効率がいい。

-将来的に1軍の先発ローテも狙える

入ってきた時から俺はそう思っている。3から5年後、ローテに入れれば。

-メンタル面の特徴は

基本はおとなしい。まじめすぎるくらいまじめで、それがいいところでも悪いところでもある。抜くことをあまり知らない。ただ、僕にもちゃんとしゃべってくる。この間一緒にスタンドで試合を見て「小峯この間よかったな。次が勝負やな」と話したね。

-3年目の佐藤智輝(21)も2試合に登板

今年の春のキャンプで150キロ以上を投げたい、という考えで練習に取り組んだが、上半身のコンディション不良になってしまった。「己を知れ」とよく話している。今はいろんな情報がSNSで入る。そういう投手になりたいと思うのはいいけど、150、160キロは特別な人しか投げられない。コントロールを磨いた方が1軍に上がれる、いい投手になれる早い道。

-藤平尚真(23)は救援で好投を重ねている

毎回言っているけれど、ストライクさえ入れば抑えられる。今はストライクはとれているから簡単には打たれない。人より練習は何でも多めにやれと言っている。ランニングでみんなが20本走ったら21、22本走れと。(横浜高の先輩で)涌井という存在がいる。「あれだけ走るワクに負けていいのか」といつも名前を出させてもらってる。来年は先発でも中継ぎでもどこであろうが、信頼を勝ち取ってほしい。

-気になった投手は

藤井(聖、25)かな。1軍に上がって1度も投げずにファームにきた。(9月14日1軍初昇格。同27日登録抹消)それから安定している。びっくりするような真っすぐを投げなくてもしっかりと抑える。プロ入り前の方が速いけれど、今も平均で142、3キロ、最速で145、6キロは出る。個人的には2週間近く投げてないから、逆にいい休養になったのかなと。1年間投げたこともないから、体も脳もリフレッシュできたと思う。1軍で先輩のやり方をいろいろ聞いたり、いい時間になったと思う。

【野手】

-育成2年目の沢野聖悠(きよはる)内野手(19)が打撃好調

去年のフェニックスもよかったね。シーズン中にあのポテンシャルを見せてくれたらいいのになと(笑い)。けがもあって、あまりファームで試合に出ていない。フェニックスでも前半は結果を出していたけれど、今はまたちょっとシーズン中の沢野に戻ってきている。体は大きい(身長184センチ)けれど、まだ体も全然弱いし、振る力も守備も全然まだまだ。ただ、みんな最初はそう。これからどうなるか楽しみ。

-気になる野手は

武藤(敦貴外野手、20)はいいね。打撃もよくなっている。1番で打たせたいと思わせる選手になってきている。

-俊足だけでなく、パワーもある

足が速い選手は体に力がある。そこは黒川(史陽内野手、20)との違い。黒川にももちろん将来的な可能性はある。ただ武藤は持って生まれたいい筋肉があって、黒川よりは武藤の方が打球は強い。逆に黒川が心配。

-黒川の現状は

気づいたらずっと練習しているタイプだから、今はだいぶ疲れていると思う。体も細くなってるし、打撃も今は悪い。

-体を強くしながら練習を重ねることは簡単ではない

本人、三木2軍監督と話をして、黒川には「打ちたいなら休息をとれ」と言った。黒川以外には言えない。若いからやれるし、やらないといけないという気持ちは本人にも首脳陣にもみんなある。体を休めることも、プロ野球選手には必要なことだと思う。

【オフの過ごし方】 

オフに休んだら無駄になる。例えばウエートトレーニング。シーズン中は筋力を維持して、オフに大きくする。その繰り返しで年々体が大きくなる。打撃でもシーズン中はフォームを維持して、キャンプあたりで新しいことに挑戦して、スケールアップする。右肩上がりでなくとも、階段を1個ずつ重ねてほしい。去年、今年はオフが短い。そこで差がついてくる。

【ドラフト会議を終えて】 

競争相手が多ければ多いほど、勝ち取った選手はいい結果を出している。はっきり言うと、今は1軍と1・5軍の競争でしかない。1軍の選手をおびやかす存在を育成選手からでも出せるようにしたい。結果を出した選手が勝ち。ドラフトで捕手、外野手、右打者をとりましたねと選手は話してくる。みんな危機感はあると思う。その危機感をどう変えていけるかが大事。