ラストチャンスを、ものにした。日本ハム伊藤大海投手(24)が、7回5安打1失点で10勝目。9月7日に9勝目をマークしてから足踏みが続いたが、7度目の挑戦で、球団の新人では、06年八木以来、15年ぶりの2桁勝利を達成した。

決して万全の調子ではなかった。5回、1度は同点とされたが、粘り強く投げきり「最後の最後で1年間の集大成を見せることが出来た」。開幕から得意のスライダーで三振の山を築いたが、途中で武器に頼りすぎない配球にシフト。1年間、先発ローテを守る戦略であり、試行錯誤することで投球の幅も広がった。

試合後には、この試合が最後の采配だった栗山監督と2人で「10」の人文字を作り、笑顔で記念写真に納まった。「少しでも恩返し出来たのなら良かった」。ウイニングボールを渡そうとしたが返され「まだまだ上を目指そう、ということ」。「200勝の時にもらう。ボールの中に魂を込めて返した」という指揮官の思いを、胸にしまった。

23試合に先発し、17試合でクオリティー・スタートを達成。規定投球回をクリアし、新人王戦線に残った。激動のルーキーイヤーを終えた右腕は「常に探求心を持って明日から取り組んでいく」。視線は、すでに来季へ向けられていた。【中島宙恵】