阪神佐藤輝明内野手(22)が、プロ1年目のラストゲームで来季につながる1本を放った。2回1死二塁の第1打席。「強い打球を打とうと、自分のスイングを信じて振りました」と巨人高橋の内角145キロ直球を強振した。左中間へCS初安打となる先制適時二塁打。前日のベンチスタートから、この日はプロ初「8番右翼」でスタメン。“ライパチ”の佐藤輝が、3打数1安打1四球1打点で今季最多2万1492人の観客を沸かせた。

「負けてしまったので、本当にただただ悔しいという気持ちです。ファンの方々の熱も感じましたし、力になりましたが、みなさんの目の前で勝つことができなかったことが悔しいです」

天国と地獄、両方味わったルーキーイヤーだ。5月28日西武戦で、新人では58年長嶋(巨人)以来の1試合3本塁打を放つなど、前半戦だけで20本塁打。チームの快進撃の中心となった。24本塁打は球団新人歴代最多の一方、NPB野手最長の59打席連続無安打を経験するなど壁にもぶつかった。厳しい内角攻めに苦しみ、プロ野球歴代ワースト6位タイの173三振。課題は浮き彫りとなった。

「いい時も悪い時もあって、本当にいろいろなことを経験させていただきましたし、すべてのことを今後に生かさないといけない」

打っても騒がれ、打たなくても騒がれる。この日もオーダー発表時、一番大きな拍手とどよめきが起きたのは「8番ライト 佐藤輝明」とコールされた瞬間だった。鳴り物入りで入団した宿命を背負い、視線を早くも来季へ向けた。「明日から来年に向けて、自分として何が足りなかったかをしっかり考えてやっていきたい。まだまだすべての面で足りないので、もっと上のレベルを目指してしっかり練習していきます」。天国も地獄も、両方糧にする。【中野椋】

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