ヤクルトとの優勝争いに敗れた矢野阪神は、クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージでも巨人に2連敗し、尻すぼみの終戦になった。6月19日に2位ヤクルトに最大7ゲーム差をつけた独走態勢からなぜ失速し、大逆転を許したのか。検証連載「矢野阪神 明と暗」の第3回は、失策が4年連続12球団ワーストとなった守備について。
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阪神中野拓夢内野手(25)は悔やんだ。「ミスから逆転を許してしまった。怖さを改めて感じました」。終戦となった3位巨人とのCSファーストステージ第2戦。2回に自身の適時打などで2点を先制した直後、3回先頭吉川の遊撃正面へのゴロをはじいた。その失策から3点を奪われ逆転負けした。痛恨だった。
レギュラーシーズンの86失策は4年連続12球団ワーストとなった。チームは長年の課題を解消すべく、今春の1軍キャンプに元巨人の川相昌弘氏(57)を臨時コーチとして招いた。巨人の親会社、読売新聞のスポーツアドバイザーを務める立場ながら、現役時代に遊撃手で6度のゴールデングラブに輝いた技を惜しみなく伝えた。早出から夕方遅くの特守まで精力的に指導。中野を含めた野手陣に「体で覚えないと。練習を積み上げないといけない。そこを自覚しないと進歩はない」と基礎をたたき込んだ。
結果的に“川相塾”の効果は極端には表れなかったが、1試合当たりの失策は0・601個とこの4年間で最も少なく、昨年の0・708個より減った。開幕直後から遊撃の定位置をつかんだ中野はリーグ最多の17失策を重ねた。ただ、その中には難しい打球に積極的に挑んだ“攻めた失策”も含まれている。9月24日巨人戦がその一例だろう。同点の9回1死満塁で丸の三遊間のゴロにダイブし、本塁への素早い送球で封殺。考え抜いたポジショニングとエラーを恐れない姿勢で、失策数以上の貢献度もあった。
今季86失策のうち内野陣は56失策。土の甲子園が本拠地で、ゴロの打球が人工芝よりも難しい。また投手陣にゴロを打たせてアウトを取るタイプの投手が多く、相関的にゴロを処理する回数も多い。13勝の青柳は全アウトのうちゴロアウト率が48・4%。10勝の伊藤将が44・4%、9勝のガンケルも42・2%と割合が高い。同タイプの西勇、スアレスを加えた5人が投げたイニングは615回2/3で、総イニング数1257回の49%とほぼ半分となる。
9日の続投会見で矢野燿大監督(52)は「守備のエラーはもちろん減らしていかないといけない。それがなかったら優勝も可能だった可能性も十二分にある。まだまだ減らせる」と引き続き失策減を目標の1つに掲げた。来季が9回打ち切り方式でなくなれば、終盤に多くの守備固めを投入しにくくなる。まずはレギュラー陣が、しっかり守れるようになることが求められる。【阪神特別取材班】



