喜怒哀楽をさらけ出す! 阪神の「ファン感謝デー」が4日にオンラインで開催され、坂本誠志郎捕手(28)が新主将に就任した。

今回は新たな試みとして選手間投票が採用され、事前投票で最終候補に選ばれていた近本光司外野手(27)、大山悠輔内野手(26)との決選投票を制した。所信表明では早速、勝ち負けにヒートアップする重要性を力説。17年ぶりのV奪回へ、熱気ムンムンのスタイルで突き進む。

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坂本は場の空気を和やかに整えてから、一気に表情を引き締めた。

お笑いムードに包まれた甲子園室内練習場。「新キャプテンは…ナダル!」。陣内智則が同じくゲストの「コロコロチキチキペッパーズ」にかけて3度ボケを繰り返した後、新主将として名前を読み上げられた。「ちょっとナダルさんが先行しすぎて…」。巧みに突っ込みを入れ終えると、所信表明に切り替えた。

「1つの勝ちをみんなで喜ぶ、1つの負けをみんなで悔しがる、そんなチームにしていきます」

プロ6年目の今季は45試合出場。終盤にスタメンマスクを増やしたとはいえ、まだ正捕手争いでは梅野の胸を借りる立場。それでも主将に選ばれた。19年からの2年間は糸原、今季は大山が務めた重責。「プレーで引っ張る説得力では2人に劣る部分がある」と受け入れた上で「自分らしくできたら」と力を込めた。

ヤクルトに首位をさらわれた21年、反省が残った。

「勝っている時、いい時に『みんなで楽しく明るく』はすごくできたけど、負けた時も言葉は悪いですけど『クソ!』とか、そういう思いがもっとあっていい。負けを悔しがったり、もっとこうしてやろうというのがさらに出てきたら、もっといい方向に向く」

履正社高の1学年先輩でもある主将山田が率いるツバメ軍団には、4番村上を筆頭に喜怒哀楽をむき出しにされてきた。「ヤクルトはみんな同じ方向を向いて戦っていた」。タイガースも負けてはいられない。

本塁打を放った選手にかける「虎メダル」を手作りするなど、もともとアイデアマンとして仲間をもり立ててきた。履正社高、明大でも主将を任されており、矢野監督も「本当にキャプテンシーがある」と認める28歳への期待は大きい。

「ちょっと、何かおとなしいじゃないですけど…。どんどん(感情を)出してもらって構わない」

キバむき出しの集団を作り上げる。【佐井陽介】

◆阪神キャプテン総選挙 井上ヘッドコーチの発案で、新たな試みとして主将選定に選手間投票の方式が採用された。秋季練習初日の11月10日に事前投票を実施。大山、近本、坂本の候補3人が選ばれた。この日の決選投票では、全選手が3人のいずれかに「○」を付ける形で投票。獲得票数は非公表だったが、矢野監督は「(坂本に)票もたくさん入っていた」と明かした。

〇…新主将は「坂本製作所」社長としてファン感謝デーの敢闘賞もゲットした。「虎メダル」製作者として今季盗塁王の中野、最多勝&最高勝率の青柳、「虎メダル」最多獲得者の大山へ、特製メダルや特製てるてる坊主を小幡と作製。来季は同所社員だという小幡にメダル作製の技術を伝授するそうで「今日の感じで引き継いでもらえたらありがたい」とニヤリ。

〇…主将初仕事はパティシエ!? 坂本は6日で53歳になる矢野監督の「サプライズ誕生日会」にもひと役買った。かつて福留(現中日)のバースデーケーキを自作し、今回もナイン総出のケーキ作りを指揮。「(背番号)88を作ろうと真ん中が空いたものを準備して、4、5人で(丸型を)1個ずつ作ったんですけど…。小野寺がキウイを穴にぶち込んじゃって8じゃなくなった。伝わりにくくなって責任を感じています」と冗談めかして笑わせた。