阪神矢野燿大監督(53)がノムさんに来季の日本一を誓った。南海、ヤクルト、阪神、楽天で監督を務め、昨年2月に84歳で亡くなった野村克也さんをしのぶ会が11日、神宮球場で行われた。現役時代に教えを受けた虎の指揮官は、ノムさんの教え子でもある古田敦也氏(56)や高津臣吾監督(53)が日本一を報告した弔辞に聞き入り、闘志に点火。野村チルドレン監督対決を制して、85年以来の頂点に立つ決意を新たにした。

    ◇    ◇    ◇

これもノムさんの導きか。神宮は12月とは思えない暖かい日差しに包まれた。矢野監督は背筋を伸ばし、恩師の遺影を見つめた。そしてノムさんの教え子、古田氏の弔辞に聞き入った。

「人生の価値はやはり人を残すこと。くしくも今年、教え子でもある高津監督率いるスワローズと矢野監督率いるタイガースとの優勝争いで、セ・リーグは最後まで盛り上がりました」 期せずして自分の名前が飛び出した。続く弔辞では、同じく教え子のヤクルト高津監督が晴れやかに日本一を報告をした。矢野監督の心のスイッチが点火した。来季は自分が日本一を報告したいかと問われ、きっぱり言った。「当たり前やん!」。今季勝ち星はヤクルトより4つ多い77勝、それでも勝率5厘差、ゲーム差0の2位に終わった。「1位と2位の差は、想像以上に大きな差があるんでね。オレ自身も何か足りなかったし。全力でやった結果。そこをまた振り返って、また全力でやっていく」。力強く天国に誓った。

99年からの3年間、阪神の監督と選手の関係で指導を受けた。褒められたのは1度だけ。監督1年目の99年4月、長崎での横浜戦だった。「当時の投手陣に球の速い投手がいなくて。『だからこそお前、成長できるんだぞ。古田もそうだ。だから、どうしようっていうのをお前は考えられて、お前にとっての成長につながるんだぞ。だからお前頑張るんだぞ』と言っていただいて。それは本当に一生忘れない」。03年と05年、リーグ優勝捕手になれた金言。教え子として、誰にも負けない野村の考えを受け継いでいる自負がある。

甲子園の監督室には、野村監督が書いた『野球に学び野球に楽しむ』という色紙を飾っている。「監督室でずっと毎日見ながら監督をやらせてもらっている。ID野球を受け継ぎながら、でも楽しむというところに挑戦していきたい」。

日本一になるには、今季敗れたヤクルト高津監督らとの教え子指揮官対決に勝たなければならない。パ・リーグでも日本ハム新庄監督、楽天石井監督兼GM、西武辻監督がノムさんへの日本一報告を狙う。交流戦を制し、セ界を制し、日本シリーズも制して頂点へ。冬晴れの神宮で、決意を新たにした。【石橋隆雄】

 

野村克也さんをしのぶ会は、野村さんが在籍したヤクルト、阪神、ソフトバンク、西武、楽天、ロッテが共同発起人となり、約600人が参列した。当初は昨年3月に本葬儀が予定されたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施できていなかった。午後は一般参列者の献花を受け付け、約2800人が訪れた。楽天生命パーク宮城や、ペイペイドームでも献花台が設置された。