オリックスは29日、京セラドーム大阪内の球団事務所で球団の仕事納めを行った。湊通夫球団社長(59)は25年ぶりのリーグ制覇を果たした1年を振り返る中で、12月4日に同ドームで行われたファン感謝デーでの秘話を披露した。

最大の目玉は優勝を祝うバーチャル御堂筋パレード。大型ビジョンに映し出された御堂筋の映像をバックに、中嶋聡監督(52)と選手会長の吉田正尚外野手(28)を乗せた先導車に続いて、ナインがゆっくりと歩いていく演出だった。

実はこの先導車を運転していたのが、ほかならぬ湊社長。運転手らしい帽子とベストを球団関係者が買いそろえ、前日にリハーサルまで行った。いつもの黒ぶちメガネを銀ぶちに変え、当然マスクも着用。完璧な“変装”に、監督も吉田正も降車時に声をかけるまで気づかなかった。中嶋監督は目を見開いて驚いた。

ちなみに、社長によると一番初めに気づいたのは20歳の宮城大弥投手だった。宮城は監督らがまだ気づいていないことを察して、黙っていた様子。ネタバレの瞬間に一緒に笑って、場が盛り上がったという。13勝とブレークした左腕の見事な洞察力も明かされた。

変幻自在なタクトで話題を呼んだ中嶋監督ばりのサプライズ。夢の中で出てきたアイデアを担当者に相談して実現した。「選手たちを安全に導くのが社長の仕事。ちょうどいいなと思った。実際にパレードできなかった悔しさもあったから。来年はリアルのパレードをめちゃくちゃやりたい。監督も選手もみんなそう思っているでしょう」。連覇への強い意欲を見せた。

○…V効果は顕著だ。湊球団社長は来年の営業見通しについて「シーズンシート、広告看板など昨年比ですべての面で増えている。非常にお客さんの反応がいい。会話のはずみ方が違う」と好感触を明かした。21年シーズンに関しても、観客収容限度を50%と仮定して算出していた利益目標が達成間近。遠征先での食事面改善など、さらなるバックアップを考えている。