中日がベンチ入り野手17人のうち16人を使う総力戦で連敗を3で止めた。同点に追い付かれた直後の8回、1死満塁を築き、途中出場の加藤翔が中前に勝ち越し打。さらに代打・福留の犠飛で広島を突き放し、1日で勝率5割に復帰した。

「(捕手の石橋以外の)野手を使い切ってしまったので延長になったらどうしようと思ったが、勝ち越してくれたので選手に助けられました。(加藤翔は)お手本のようなバッティングをしてくれました」。珍しく上気した表情で立浪監督はまずナインに感謝。腹をくくったオーダーと超積極野球で勝利をもぎ取った興奮は隠せなかった。

打率リーグトップの大島離脱で打線は窮地に陥った。「打てないのであれば将来楽しみな選手を早い打順に入れて…必死に結果を出す姿をみていきたい」。その思いで1番には22歳の鵜飼、2番に20歳の岡林、3番には初めて20歳の石川昂を起用。3盗塁も絡めて広島森下から中盤までに2点を先行した。

若い1、2、3番には強い思いを伝えていた。「必死な姿勢だけは見せろと。自信がなさそうな姿を見せたら使わないと試合前にはっきり言いました」。その思いに応えるように鵜飼は四球と安打で2度出塁。岡林は3安打1盗塁。石川昂は2点目の右犠飛と必死のプレーを見せた。

育成の途に就いたばかりだが、4月を12勝8敗で終え、勝率5割で5月に入る。「どんどん勝負をかけていかないと点が取れないので。1日1日が勝負。常に勝ちに向かって全員で戦っていきます」。52歳の新指揮官はそう言って目を光らせた。【安藤宏樹】

○…先発松葉貴大投手(30)が5回4安打無失点。勝利の権利を得て降板したが、8回に同点とされ、今季初星はお預けとなった。「なんとかゲームを作ることができてよかったです」。本拠地で5回までは無類の強さを発揮する左腕。立浪監督は「5回、バンテリンと決めました。本人もそれでいいと言うので」と限定登板を宣言した。

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