阪神近本光司外野手(27)が24試合連続安打を放ち、オリックス時代のイチローの記録を超えた。球団では97年和田豊に並ぶ5位。3回に右前打で出塁し、好調をキープした。6月から3番に座り、無安打の試合は1度もなし。チームは3連勝でストップしたが、近本のバットが再び快進撃へ導く。

息をするかのように、ごく自然にHランプをともした。3回2死一塁の第2打席。大貫の低め137キロ変化球に、近本は崩されなかった。右前打で97年和田豊に並ぶ球団5位の24試合連続安打。一塁ベース上での表情もほとんど崩れない。淡々と、冷静に。1本の積み重ねが当たり前の日常になりつつある。

23試合連続安打は過去にオリックス時代のイチロー、西武松井稼頭央、ヤクルト青木宣親らが記録しており、これを超えた。快音を響かせるたびレジェンドの名前が登場し、近本はその上をいく。

「イチローさんじゃないですかね?」。昨年12月。地元淡路島での講演会を終えると、自ら名前を出した。「理想の野球人」を問われた時、真っ先に出てきたのがイチローだった。「野球人として野球を広めることをされている。高校野球も指導されて、それだけじゃないけど、こうしたら野球界が良くなるというのも分かっていると思う」。

地元に、子どもたちに、プロ野球選手として何ができるか。答えを追求している途上だからこそ、レジェンドの足跡は何よりの参考になる。「オフに淡路島に帰って歓迎されるようじゃまだダメ。もっと年数を重ねていかないと」。そのためには数字を残し続けなければならない。イチロー超えは通過点なはずだ。

高橋慶彦(広島)が79年にマークしたプロ野球記録の33まで「9」に迫り、カウントダウンに入った。6月の月間安打も「35」で自己記録まで残り3。それでも、勝てなければ意味がないというのが本音だろう。チームは3連勝でストップ。初回の2得点以降、ゼロ行進が続いた。

「なかなか追加点が取れないというところで、向こうに流れがいったかなと思う。この球場、やっぱ狭いんでねピッチャーにとってはなかなか難しい球場だけど、それは同じ条件。そういうところではもっと点取らないと、こういうゲームになっちゃう」。矢野監督は打線のさらなる奮起を求めた。近本も仕切り直して、また次の1本を追い求める。【中野椋】

 

◆連続試合安打 日本最長は高橋慶(広島)の33試合連続で、左打者最長は秋山(西武)31試合。近本はどこまで迫ることができるか。なおメジャー最長は、ジョー・ディマジオ(ヤンキース)が41年に記録した56試合連続で、永久に破られることのない記録の1つとされる。

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