虎の助っ人右腕がまさかの大炎上だ。ヤクルト猛追にさらに勢いをつけるはずだったが、先発アーロン・ウィルカーソン投手(33)が2回に1死も奪えず5失点KOされた。1回は3者凡退でスタートした。だが、2回無死一、二塁から6番中田に右中間二塁打で先制を許すと、9番の投手山崎伊まで4者連続適時打を浴び交代。肩を落とし三塁ベンチへ向かった。

1回0/3の来日最短降板での5失点に、矢野監督は「キレもコントロールも、変化球の精度もよくない。抹消するよ。今の状態じゃちょっとしんどいな」と2軍降格を明言した。3連勝で月間MVPを獲得した5月の状態とはほど遠かった。

前回7月19日広島戦で6試合ぶりに5勝目を挙げた。今回も中15日と間隔を空けてのマウンドだった。ウィルカーソンも「しっかり準備してジャイアンツ戦登板に迎えられるようにやってきた」と万全を期したはずだった。大量の汗に悩まされるだけに、涼しいドームのマウンドも「うれしいというかプラスにとらえている」と、話していた。

先発陣の奮闘が上位浮上の要因だった。7月は20試合中14勝を挙げ、全試合で先発に勝ち星がついた。月間の先発防御率1・04。8月に入っても2日青柳6回3失点(自責1)、3日伊藤将6回1失点と9試合連続でクオリティースタート(6回以上自責3以内)を達成していたが、快進撃は止まった。

この日、巨人に勝てば、東京ドーム6連勝となり、52年のフランチャイズ制導入後初めて、後楽園、東京ドームでの同一シーズン6連勝と伝統の一戦に新たな歴史を刻めたが、0-7の完敗。雨天中止となった首位ヤクルトとは10・5ゲーム差に広がった。ドラマを起こすためにも、先発陣の踏ん張りは不可欠だ。【石橋隆雄】

 

▼阪神は3番近本、4番佐藤輝、5番大山がそろって無安打に終わった。この3打者がいずれもノーヒットだったのは、5月17日ヤクルト戦に続き今季2度目。この試合では近本は1番だったため、この3人のクリーンアップが全員無安打だったのは今季初となった。

▼阪神の完封負けは今季18度目。巨人戦では今季7月12日(甲子園)以来2度目。東京ドームでは、20年8月20日以来2年ぶり。

〇…矢野監督は5点を追う3回無死一、二塁でプロ初打席の石井がバント失敗した場面について「いやあ、まあ。あいつは打席に立つことはないし、俺的には責められへんけど」と、受け止めた。ウィルカーソンが2回途中で降板。その後のリリーフ陣の起用を考えると、あの場面での代打は難しかったかと問われると「当たり前やん。だからバントして、そのままいった」と説明した。

○…新助っ人ロドリゲスが巨人戦初安打を記録した。3回、先頭で三遊間を破ってチーム初安打。2日のカード初戦から2戦で7打数無安打と抑え込まれていたが、3戦目にして快音を響かせた。一塁守備でも無難なプレーを続けており、今後はスタメンに定着しそうな気配だ。

○…コロナ感染から復帰したケラーが22日ぶりに登板し、1回無失点で好投した。5点ビハインドの5回にマウンドへ。巨人岡本和には直球を軸にカウントを取り、遊ゴロに。ポランコには四球を与えたが、慌てずに投球。中田を直球で仕留めると、最後は大城を138キロの変化球で空振り三振に抑えた。「久しぶりにチームの一員としてマウンドに戻ってくることができてうれしいよ」と笑顔だった。

○…右脇腹筋挫傷から復帰した及川が今季初登板を1回1安打1失点で終えた。6点を追う8回に登板。巨人先頭の中田と三ゴロ、代打ウィーラーを二飛としたが、代打増田陸に左翼越えソロを許した。最後は代打ウォーカーを三ゴロとした。コロナ感染の渡辺に代わり、特例2022の代替指名選手としてこの日、初昇格。試合前には「数少ないチャンスをしっかりとつかみとって、後半戦を一緒に戦っていきたい」と意気込んでいた。

○…石井がプロ最長の3回を投げ、1安打無失点と力投した。先発ウィルカーソンが炎上し、4点ビハインドの2回無死一、二塁で登板。吉川に四球を与え、満塁としたが、重信を中飛、丸を右飛に。岡本和には押し出し四球を許したが、ポランコをシンカーで空振り三振に抑え、最少失点で切り抜けた。3、4回は二塁を踏ませず。「投げる中で反省もありましたが、それも含めて次回の登板に生かしていければと思います」と振り返った。

○…ロハスは外国人枠の影響も受け、2軍に降格した。来日2年目はここまで55試合出場で打率1割9分6厘、4本塁打。7月17日中日戦にスタメン出場した後はベンチスタートが続いていた。ガンケル、アルカンタラ、ケラーに新助っ人ロドリゲスが加わり、この日は先発のウィルカーソンを1軍に再登録。ロハスが外国人5枠から外れることになった。

○…西勇が8勝目を目指し、5日広島戦(マツダスタジアム)に先発する。7月は4試合に登板し3勝0敗、防御率0・66と抜群の安定感でチームの上位浮上に貢献した。かねて「しっかり自分の役割を果たすことをやり続けていければいいと思う」と話す右腕が、8月も熱投を続ける。