一丸勝利をつくったのは先発の真っ向勝負だった。野村祐輔投手(33)がヤクルト21回戦(神宮)に先発。6回1失点で勝ち負けはつかなかったが、技で流れを渡さなかった。通算150号に王手をかけたヤクルトの4番村上と3度対戦。2三振と申告敬遠に抑え、眼前でのメモリアルを防いだ。試合は延長10回に松山竜平外野手(36)が代打決勝打。連敗は「6」で止まった。

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登板後のアイシングを終えたこの日の先発野村はただ勝利を信じて、神宮のベンチからナインを見守った。試合が決したのは延長10回。2死一塁から代打で登場した松山が左中間に適時二塁打を放ち、勝利打点を挙げた。チーム一丸でつかんだ勝利。先発が試合をつくったからこそ、つかんだ1勝だ。

通算150号に王手をかけた燕の若き剛砲を、鯉の柔腕は技で黙らせた。「リリースポイントのタイミング、フォームのバランスだけ(修正した)」。微修正で3回4失点の前回から中6日でマウンドに。2回先頭ではカウント2-2から外角いっぱいへ逃げていくツーシーム。ストライクゾーンをかすめる1球でスイングすらさせず、三振を奪った。

4回先頭でもフルカウントから真ん中低めのきわどいコースで動くツーシーム。137キロでも空振りを奪うには十分だった。6回1死二塁ではベンチが申告敬遠を選択したが、3打席で無安打。1戦目に逆転弾、2戦目で適時打を放たれた主砲に打撃をさせなかった。「それ(2三振)はもうたまたま」と謙虚に振り返るが、「攻めた結果」と、胸を張った。

打つべき選手に仕事をさせず、流れを与えなかった。6回1失点で降板。3勝目は記録されなかったが、先発として役目は十分に果たした。河田監督代行も「前回、祐輔(野村)とはタイミングが合わない感じがしていた」とうまくいった戦略を振り返った。

チームは松山の決勝打で連敗を「6」で止めた。横浜から休養日をはさんで神宮に移った関東6連戦は1勝5敗と苦しい結果に終わった。26日からは本拠地に移り、0.5差で追う4位巨人を迎える。3位阪神までは2.5ゲーム差の混セ。まだまだこぼれ落ちるわけにはいかない。【前山慎治】

○…守護神栗林は24セーブ目を挙げた。2死満塁のピンチを招いたが、なんとか切り抜けた。1点勝ち越した直後の延長10回に登板。キブレハン、村上を連続三振にしたが、安打と2四球で満塁とされた。しかし最後は長岡を右飛に打ち取り、試合を締めた。「間隔が空いたという感じもない。ファンの方の期待に応えたいという気持ちが優先している」。17日以来7試合ぶり登板も動じなかった。連続試合無失点は「13」に伸びた。

○…4番手の松本が1回2/3を無失点に抑え、2勝目をつかんだ。2-2の8回1死一、二塁から救援。サンタナには死球を与えたが、後続は断った。回またぎの9回も無失点。直後に勝ち越したため、6月22日阪神戦以来の勝利を挙げた。「1人1人に集中して。僅差で投げさせてもらっているので役割を把握して、チームのためにどんどん投げていきたい」。登板は栗林に次ぐ37試合。ルーキーがブルペンを支える。

○…新型コロナウイルス陽性判定を受け、療養中の佐々岡監督は27日の巨人2戦目(マツダスタジアム)から復帰予定となった。河田監督代行が「予定は26日まで(代行する)。2戦目からは監督が復帰の予定。またPCR検査をすると思うので、未定だが」と明かした。佐々岡監督は無症状ながら16日に陽性判定を受けていた。

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