WBC日本代表に選出されたソフトバンク甲斐拓也捕手(30)が、フレーミング向上から世界一をつかむ。22日、大分市内で自主トレを公開。プロ経験のないキャッチング専門のコーチを招き入れ、際どいゾーンの投球をストライク判定に見せる捕球を繰り返した。侍ジャパン投手陣をけん引する扇の要が、1ミリ単位の微修正にこだわり、調整を進めている。

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昼下がりのグラウンドで、甲斐がフレーミング練習を反復した。時間にして1時間超。低めに投げられたボールを捕球しては、わずかにミットを上に動かす。打撃マシンから放たれるスピードボールでも練習した。「もっとうまくなるためにはやらないといけない」。プロ13年目で新たな取り組みだ。

フレーミングとは、際どいゾーンの投球をストライク判定に見せる捕球技術のこと。米国でも、近年は数値化されるなど注目を集めている。「試合の勝ち負けは、1球で決まることがある。それでピッチャーを助けられるなら」。WBC日本代表に選出された甲斐は、大谷やダルビッシュなど超一線級の投手陣をリードする。「自分の技術を上げて、いい投球をしてもらえるように。キャッチャーとして堂々と戦える準備をしている」。世界の舞台へ、珍しい特訓を敢行した。

この日はフレーミング技術の専門家、緑川大陸(ひろむ)氏を招き入れた。同氏は立正大硬式野球部でプレー後、草野球が主戦場だという。プロ未経験だが、甲斐は「極めている人や特化している人の話を聞いていたら、本当にすごい」と強調。すでに下半身や腕の使い方をレクチャーされている。侍ジャパン戦士が、草野球でプレーする選手から金言を授かる。極めて異例の光景にも「うまくなるために僕からお願いしました。本当に頼んで良かったなと思っています」と充実感たっぷりだ。

1ミリ単位の微修正にこだわり「100%の状態でいきたいし、世界一を取れるように貢献したい」。もちろん、正捕手としてソフトバンクの3年ぶりリーグ制覇奪還も忘れてはいない。「初心に帰り、チームを勝たせるキャッチャーになりたい」。細やかな努力から大輪の花を咲かせる。【只松憲】

○…育成選手の居谷が「甲斐塾」に充実感たっぷりだ。師匠とともに約7時間みっちり練習。「(甲斐)拓也さんは練習に取り組む姿勢や、オンとオフの切り替え、食事の量も人と違う。それがケガをしないことにつながるんだなと」。高卒3年目を迎える今季は支配下昇格が第一目標。「たくさん世界を経験していて、経験値のある方。自分に少しでも取り入れたい」と気合を入れた。

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