プロ2年目で初めて4番起用された阪神森下翔太外野手(24)が、キャリアハイの11号で1発回答した。

初回に左中間へ先制2ラン。阪神4番の初打席アーチは草創期のチームを引っ張った1949年(昭24)の別当薫以来、75年ぶりの快挙だ。3試合無安打の佐藤輝を39試合ぶりにスタメンから外しての抜てきに応えて勝利に貢献。首位広島が敗れて一夜で自力Vも復活した岡田阪神が、4番森下の新オプションを武器に逆転のリーグ連覇を目指す。

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虎の新4番がいきなり牙をむいた。森下の打球はきれいな糸を引くように、左中間最深部へ飛んでいった。初回2死二塁。グリフィンの外角に逃げていく変化球を強引に巻き込んだ。

「たまたま球が高くて、角度がついてくれました。あの場面は、しっかりタイムリー打つことを意識していました」。打点狙いで最高の結果を出した。

3試合無安打で、前日12日には痛恨の適時失策を犯した佐藤輝が39試合ぶりにベンチスタート。代わって阪神第110代の4番に指名された。岡田監督は佐藤輝を出すか、森下4番のパターンかで迷ったという。「みんなでね、今日はこっちでいこうっていうことで。ずっと一番安定してね、調子も良かったんでね」。左腕の先発も加味し、打点と本塁打でチーム2冠の森下に大役を託した。

背番号1も1発回答で応えた。「4番はチームの核になる選手なので、中途半端なことはできない。今はストライク、ボールが見えているので『打線』という意味で置いてくれたのだと思う」と謙そんも交えて言った。責任感をいつも以上に背負った1日。前日0-1完封負けしたチームを開始早々に勢いづけ、一度は追いつかれても終盤突き放して勝つ起爆剤になった。

2年目はこの東京ドームから始まった。開幕戦の3回の先制機。巨人戸郷から右中間に会心の一打を放ったが、梶谷の超美技に阻まれ、併殺で形成は一気に逆転した。「シーズン序盤の流れを決めた」とも言われるプレーで自分を見つめ直した。宿舎に帰るとすぐに映像を凝視。1人反省会を行った。「もっと前でとらえていたらもっと伸びていた。0コンマ何秒だけ、感覚的に差し込まれたから、スライスして梶谷さんの方向に行ってしまった」。巨人バッテリーの攻めを再確認。研究に研究を重ね、この日のアーチにつなげた。

2軍落ち、フォーム矯正指令など、辛苦も味わった2年目。その分、着実に進化を遂げている。キャリアハイの11本塁打と52打点はチーム最多。さらに8月の12打点はリーグトップと好調ぶりは止まらない。

今日14日が誕生日。23歳の最終日に初の4番で本塁打を放ったのは偶然か、必然か。首位広島が敗れ、一夜でチームの自力5も復活した。「まあ、勝てたので。明日誕生日を迎えて、いい1年にしたいと思います」。年男の背中が大きく頼もしい。【柏原誠】

▼阪神が勝ち、広島が敗れたため、阪神の自力優勝の可能性が1日で復活した。阪神が残りの36試合に全勝した場合、90勝48敗5分けで勝率6割5分2厘。一方広島は、阪神戦以外に全勝した場合、90勝48敗5分けで勝率6割5分2厘となり、勝率と勝利数で並ぶ。この場合、セ・リーグの優勝球団決定方法では次に当該球団間の勝率が高い球団が上位になり、広島戦で勝ち越している阪神が上位となるため自力優勝の可能性が復活した。

▼阪神が今季54勝目を挙げて令和400勝に到達した。ソフトバンクに次いで2番目の到達で、セ・リーグ一番乗りとなった。令和になって以降、12球団で唯一Bクラス入りがない。矢野燿大監督が19年から4年指揮を執り、23年からは岡田彰布監督が率いている。

▼プロ入り初めて4番で先発出場した森下が初回に本塁打。阪神で4番初出場の試合に本塁打を打ったのは21年5月2日佐藤輝(3打席目)以来11人目で、4番初打席で本塁打は03年8月9日金本以来3人目。ただし、金本は広島時代に4番を打っており、阪神でプロ入り初の4番試合で初打席に1発は49年4月16日別当以来、75年ぶり2人目。

◆別当薫の阪神時代 1948年(昭23)に阪神に入団した外野手。新人ながら13本塁打を放つと、2年目も39本塁打をマークし「ダイナマイト打線」の中核を担った。第19代4番として6試合に出場。50年に毎日に引き抜かれ、同年に最多安打、本塁打王、打点王に輝きMVPも獲得した。通算891試合に出場し、3191打数965安打、549打点、155本塁打、打率3割2厘。毎日時代には兼任監督も務め、大毎、近鉄、大洋、広島でも指揮を執った。88年に野球殿堂入り。99年4月16日、78歳で死去した。

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