阪神井上広大外野手(23)がプロ5年目の甲子園初アーチで13安打9得点大勝を導いた。19年夏の甲子園で履正社を全国Vに導いた男が「6番左翼」で出場し、15年夏に東海大相模を全国Vに導いた中日小笠原から初回に2ラン。先頭近本から6者連続安打&6者連続得点を締める豪快な1発でゲームを優位に進めた。虎のロマン砲がプロ1号を含むスタメン2戦2発のお目覚め。首位広島と2位巨人も敗れる“1人勝ち”で再び3・5差に迫った。
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白球はあっという間に左翼スタンドに到達した。耳をつんざくような大歓声を全身で浴び、井上はゆっくりとダイヤモンドを1周。ホームに生還するとナインから熱い祝福を受けた。
「本当に5年間苦しんできた中で打てた1本だったので、よかった」
先頭から6連打を2ランで締めくくった。「6番左翼」でスタメン出場。初回に2点を先制されて迎えた1回裏。1番近本から5番佐藤輝まで5連打で一挙4得点。試合をひっくり返した。なお無死一塁で打席へ。「みんながいい流れを作ってくれた打席だったので、ストライクは思い切って打とう」。中日小笠原の初球、146キロ低めの直球を狙い打ちした。プロ初本塁打を放った8月28日DeNA戦(横浜)以来、今季2号2ラン。先発した試合では2試合連発という圧倒的パワーを見せつけた。
前日3日には志願の鳴尾浜親子ゲームに出向いていた。試合間隔が空き、この日から2試合連続で左腕との対決が見込まれる中、スタメン起用を見越した。1軍の試合前に2軍の広島戦に出場。これには岡田監督も「自分からいきよった。要領よくなったなあ」と舌を巻いていた。特大アーチに指揮官も「便乗して、最後。でも、とにかく追加点が大きいですよ」とたたえた。
井上にとって甲子園は「輝きの場所」だ。履正社(大阪)3年時の夏の甲子園では現ヤクルトの奥川から優勝を決める逆転3ラン。プロ入り後も1年目の20年に甲子園初打席、初安打を放つなど、まさに「甲子園の申し子」。聖地には特別な思いがあった。「甲子園で活躍して、プロに入れましたし、それが阪神で、また甲子園で野球ができる。甲子園で試合をする時は、自分で輝いてるじゃないですけど、そんな感じです」。プロへの道を導いた聖地で今度は虎党を沸かせ、「高校野球とはまた違った大歓声をいただいた」と感激した。
これでチームは首位広島とのゲーム差を3・5に縮めた。お立ち台では「明日も勝って必ず優勝する」と力強く宣言した23歳。残り20試合でゲーム差を縮め、岡田監督は「ずっと、1試合1試合勝っていくだけなんでそんな計算はしてないですけどね」。逆転劇の使者に井上がなる。【村松万里子】
▼阪神井上が甲子園初アーチ。井上は履正社(大阪)時代の19年夏の甲子園で3本塁打を放っている。阪神にドラフトで入団した選手で、高校時代に甲子園で本塁打を打ち、プロでも甲子園で本塁打を記録したのは、最近では光星学院(青森、現八戸学院光星)の12年夏に4本塁打し、阪神でも16年から22年まで通算9本打った北條史也、大阪桐蔭3年春、夏に2本塁打し、阪神入団後の21年に打った藤浪晋太郎、11年夏に日大三(西東京)で2本塁打し、プロでも通算5本打った高山俊らがいる。



