悲壮感もなければ、敗北感もない。8回完投、7安打1失点の力投で今季敵地初黒星を喫した巨人菅野智之投手(34)が、すがすがしく言った。「今年一番、集中していた。疲労感というのはない。最後まで責任を持って投げたいと思っていた」。マジック6で迎えた2位阪神との頂上決戦。強がることなく確かな手応えが右腕に残っていた。

表情は崩しても、マウンドで立ち居振る舞いは乱さない。0-0で迎えた3回1死一塁で、打席は投手の9番才木。カウント1-2から高めのカットボールを狙ったが、バントの構えのままボールはミットに収まった。犠打失敗、三振でベンチに帰ろうとしたのは才木だった。しかし芦原球審の腕は上がらず、吉本一塁塁審もノースイングの判定。打ちなおしで犠打を決められた。ただ、浮かべた苦笑いの後は、対打者に集中したからこそ、胸を張って言える。

菅野 何百試合も投げて「絶対ストライクだろう」とか「絶対振ってんだろう」とか、何百回も経験しているけど、いちいち考えたところで変わらない。次どうするかって常に頭を切り替えてやっていく方が、僕は意味があると思う。

その流れで1点を失ったが、3番森下を二ゴロに仕留めたことで傷口は最小限にとどめた。

完全ビジターの甲子園に乗り込んで、本拠地無敗の才木と敵地無敗の菅野による投手戦。今季セ界最強の“盾対盾”の対決は才木に軍配が上がったが、チームはまだ優勝マジック6が点灯している。「ウチの有利は変わらない。今は反省っていうよりも、次に向けてが大事」。背番号18とともに背負うのは巨人の誇り。今季最後の伝統の一戦を前に、甲子園のマウンドで確かに示した。【栗田成芳】

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