ヤクルト石川雅規投手(45)が、プロ野球史上初となる金字塔を打ち立てた。5回5安打3失点(自責1)で今季初勝利。これで工藤公康、山本昌、三浦大輔の23年を抜き、単独最多となる24年連続勝利となった。45歳以上の勝利も、浜崎真二、工藤、山本に次ぐ4人目の偉業だった。通算では187勝目。頼れるベテランが粘投し、チームに昨年4月2日以来、約1年ぶりの貯金をもたらした。

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安堵(あんど)感と高揚感が入り交じった。不思議な感覚だった。歴史的1勝を手にして帰りのバスに乗り込む前、石川は言った。「自分が自分なのか。信じられないところもある。1年1年、1試合1試合の積み重ねで今がある。そういう意味ではあっという間だった」。

勝利までの道のりは厳しかった。2回は無死満塁から自身の悪送球も絡み3失点。ただ、そこから真骨頂を見せた。3回は2死三塁、4回1死一、三塁を無失点。何とか粘った。5回は中野、森下、大山の上位打線を3者凡退し、試合の流れを動かした。打線から6回に5得点の援護を受け、勝ち投手となった。

究極の“平凡力”で、生きる道を探し続けてきた。この日の直球の最速は131キロ。伝家の宝刀と称されるような、圧倒的な変化球を持つわけでもない。「変な話、僕っていろんな意味で平均以下だと思うんです。でも結局、野球ってトータルじゃないですか。だから面白い」。石川の野球道だ。

1年目のキャンプは鮮明に脳裏に残る。当時、絶対的な守護神だった高津監督の直球の制球力に目を奪われた。内角低め、外角低めとブルペン捕手が構えるミットは、ほとんど動かず、球が吸い込まれていく。「これが一流のプロか」。驚きとともに自らが生きる道しるべとなった。

球界最年長となった今、石川はキャッチボールもマウンドのように足場を固め、セットで構えて投げる。実戦をイメージし、常に制球力を磨く。変化球は同じシンカーでもスピード、変化量に差を生み、何種類も投げ分ける。精密なコントロールを軸に、自称「平均以下」の引き出しをたくさん作った。その小さな武器の結晶が、高い総合力となった。

4月9日。この日はちょうど94年4月9日阪神戦(神宮)で、活動休止中の「つば九郎」がデビューした記念日でもあった。

「つば九郎と常に、今も戦っているつもり。大きな、大きな声援を送っていると思う。つば九郎がデビューした日に勝てたのは、本当に勝たしてくれたのかなと思いますね」

不思議な縁が重なって、自らにとっても大事な記念日になった。これで通算187勝。次なる節目を見据える。まだまだ通過点だ。【上田悠太】