3年前のドラフトで指名漏れを味わった20歳の若武者が、都市対抗の舞台で躍動した。JFE西日本(福山市・倉敷市)の田中多聞外野手(20=呉港)が「8番中堅」でスタメン出場。9回にダメ押しの2点適時二塁打を放つなど、2安打2打点の活躍で3年ぶりの初戦突破に貢献した。
呉港(広島)時代は高校通算48本塁打を放ち、左の大砲として注目を浴びた。迎えたドラフトでは指名はなく、JFE西日本に入社。2年目からスタメンに加わる機会が増えると、高校時代と変わらず思い切りのいいスイングから長短打を刻み「恐怖の8番打者」としてドンと座った。この日も3安打1死球と全打席で出塁した7番・河内愛哉内野手(27=富士大)とともに下位打線を引っ張って逆転勝利を呼び込んだ。
高卒3年目。今秋のドラフト指名を受ける機会を得たが「特別思い入れがあるわけではない」ときっぱり。勝負の年と理解しているが、あくまで「プロにいくためにJFEの競争に勝つことが何より大事ですから」と重点は変えるつもりはない。
打力を磨くべく細かな部分に気を配ることができたのは、社会人野球を通した経験があったから。「バットの出し方やボールを片目ではなく両目で追うとか」と地道にコツコツと試行錯誤を重ね、走攻守を兼ね備えた元阪神の糸井嘉男氏を目指す。「超人」の愛称で親しまれ男に近づくべく趣味でも妥協を許さず、サウナやデイキャンプで己と向き合う。野球人として1歩ずつ成長を遂げる20歳の姿がそこにある。3年ぶりの初戦突破にも満足はない。「全試合スタメンで、8番らしくないバッティングでチームに貢献することができたら」と誓った。



