やっぱり、ゴジラはスーパースターだ。毎年恒例のイチロー氏(51=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が率いるKOBE CHIBENと高校野球女子選抜が8月31日、バンテリンドームで行われ、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(51)が2年連続で出場。2年連続の本塁打となる先制3ランを放った。練習では34スイングで柵越え0本。1安打14三振で完封したイチロー氏も「あの人ずるい」と嫉妬するほど輝きを放った。
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千両役者は現役時代同様、たった一振りで名古屋の空気を一変させた。0-0の3回2死一、二塁。イチロー氏が四球、松坂氏が中前打でつくった先制機だった。松井秀氏は初球の115キロの直球を、やや体勢を崩しながら捉えると、右翼ポール際へライナーで中段まで運んだ。「ドラゴンズファンの皆さまには申し訳ないんですけど、この球場大好きです。野球って、たまにこういうことが起きるから、やめられません。現役時代でもないぐらいの完璧な打撃でした」。巨人時代の02年8月17日中日戦で、山本昌から打って以来の名古屋アーチを自画自賛した。
14奪三振で1安打完封したイチロー氏が、思わず嫉妬した。「こういう人がいるんですね。これは想定外。スーパースターはやるんですよ」「何なんですか、あの人。明らかに僕にないものを持っている。あの人ずるい」。伏線がある。試合前のフリー打撃。元メジャーリーガー4人が、こぞって柵越えを狙った。だが、松井秀氏は34スイングで0本。イチロー氏は「マツイヒデキが1発入れて終わりたかった。僕に負担かけて」と、3度打席に入って8本の柵越え。最後は17スイングも粘り「完全に練習で力尽きた」とあおりを食って苦笑いした。
松井秀氏は、用意周到に臨んでいた。帰国前、ニューヨークの自宅で「家の庭を走って、家のガレージで打ってきました」。昨年は初参戦で初アーチも、1回の守備で肉離れを起こしていた。けが予防のため「テーピングでグルグル巻きにして」臨んだ。打席では母校の後輩が奏でるブラスバンド演奏に「5連続敬遠のあの試合以来。久しぶりの星稜コンバットは感動しました」と刺激を受けていた。
ヒーローインタビュー中に「来年はジャイアンツの監督じゃないの?」とやじが飛んだ。「余計なことを言わないの」とたしなめながらも「素晴らしい空気の中でできたことがホームランにつながった。来年も(イチロー氏に)呼んでもらえますかね」とかわした。イチロー氏は「そりゃ野球ファンはもちろん(巨人の監督として)見てみたいんですけど、ウチの大事な戦力なんでね。ちょっと待って」。来年のセンターを確約して、2安打5打点の4番を引き留めていた。【斎藤直樹】



