2週間前に右肩痛を発症したイチロー氏が、責任感で111球を投げ抜いた。「彼女たちは僕と対戦するモチベーションがある。マウンドから絶対に降りられない」。シアトルに戻る予定を飛ばし、猛暑の国内で必死に治療した。初回、先頭と3番に死球を当てた。だが、三ゴロ併殺でピンチを切り抜けると、後はすいすい。最速135キロの直球にカーブ、スライダーにフォークも交え、7回2死まで無安打だった。
初のノーヒットノーランがちらつき始めた途端、中前打を許した。「(意識は)だいぶあった。めちゃめちゃ悔しかった。やっぱり色気を出すとだめなんだと分かった」。表情を変えずに投げ続けた。最終回は3者連続三振で締め、14奪三振。母校愛工大名電のブラスバンドの応援を受けながら、地元名古屋で2万1233人の観客を魅了した。
ヒーローインタビューで言葉に詰まった。「いずれできなくなる日が来るんですけど…」。8秒間の沈黙を挟み「できるだけ先でありたい」。感極まったのかと思いきや「全然違う。頭が白くなることあるでしょう。それをしょうもない言葉で埋めないのが僕のポリシー」。現在、背番号51で51歳。年齢が追い越しても、女子高生に力を見せ続ける。【斎藤直樹】



