西武の西川愛也外野手(26)の左肘が赤かった。
「スライディングキャッチした時に摩擦ですりむいちゃって。血が出たのに気がつかずに、屈伸とか股割りしてたら…」
ユニホームのパンツにも鮮血が飛んでいる。5回に勝ち越され、なおも1死二、三塁のピンチ。ソフトバンク山川がバットの先に当てた打球がふらふらと、西川の前方へ。
「ランナー三塁だったので本当にスライディングせずに捕りたかったんですけど、あそこはどうしようもなかったですね」
滑り込み、摩擦を感じながらも左手にはめたグラブに打球を収めた。
そのグラブと同じモデルのものが、この日ベルーナドームに来場した子どもたちにプレゼントされた。西川グラブをはめながら、ホームランボールを待つ子どもたち。「スタンドから僕の名前を呼ぶ声も聞こえました」。
西川は「僕の場合は、小学校でポジションも決まってなかったですし、オールラウンダーのグラブでしたね。今もSSKさんのを使ってますけど、初めて買ったのもSSKのオレンジです。そこからいろんな色、使いましたね。経験で」と笑って懐かしむ。
自身モデルのグラブをはめた子どもたちには「打てたらバッティングが野球で一番楽しいと思うんですけど、守ったり走ったりも楽しいんだよ、っていうのを伝えたいですね」と話す。
実は“愛也モデル”には秘密がある。
「普通の外野手って親指と小指を付けるようにグラブを作る人が多いんですよ。でも僕は(親指以外の)4本をたたむようにしてるんです。その方がボールがこぼれづらいんで」
周囲にも同じタイプの選手がいないようで、もちろん子どもたち全員がマネする必要もない。「子どもたちが野球って楽しいなって思えるようなプレーをできていたら、良かったなと思います」。何百人もの子どもたちが、同じグラブを付けた人のファインプレーを目撃した。【金子真仁】



