ロッテ襲来!

 阪神が12日に1、2軍キャンプ地でロッテ編成担当の訪問を受けた。FAで小林宏を獲得したことにより、人的補償を求める可能性がある。プロテクト28選手から漏れた選手の調査が始まった。メーン球場やブルペンなどを細かくチェックされ、キャンプ中では異例の光景が広がった。

 ロッテが来たで~!

 警報が鳴り響いたわけではないが、宜野座と安芸がざわついた。ロッテ編成担当が1、2軍のキャンプに来襲。プロテクト28選手から漏れた虎戦士の調査がいよいよ始まった。

 「あいさつに来ただけですよ。何も知らない。期待されるようなコメントはできないですよ」。

 宜野座に派遣された諸積編成担当は10人を超える報道陣に囲まれた。表情は硬かった。何もない、と言われても…。阪神にとっては、招かざる客だ。

 FAで小林宏を獲得したが、ルールで代償を強いられる。ロッテ首脳は「投手2人と野手1人を調査に行く」と明言。これからじっくりと人的か金銭補償かを見極めていく。金本や鳥谷ら中心選手は当然プロテクトされているが、中堅や若手で戦力はいないか。嫌でも、その足取りに注目が集まった。

 諸積編成担当は、まずはブルペンに足を運んだ。福原や筒井、下柳らが投球練習を行っていた。おもむろに携帯電話を取り出し、パシャリ。意中の選手は誰だ?

 どうやら、昨年まで同じチームだった小林宏の投球を撮ったらしい。その後は、メーン球場に移動し、シート打撃を熱心に見つめた。

 一方、安芸では松本尚樹編成統括、佐藤幸彦編成調査の2人が訪問。打撃投手に登板した杉山や江草、秋山をチェックした。狩野、葛城の特打も見て、午後3時半まで滞在した。同編成統括は「リストに漏れた全員をチェックする。最新の力を知りたい。阪神は良い選手が多い」と話した。今日13日も調査する予定。収集した情報を持ち帰って、20日前後に方向性を固める模様だ。

 キャンプ中では異例の事態だ。FA交渉は年末までに決着するケースがほとんど。小林宏がメジャー志望だったため、1月末まで長引いた。応対した黒田正宏球団本部シニアアドバイザー(63)は「こんなん初めてや。プロテクトの話は何もしてないで…」と苦笑した。仕方がないとはいえ、公開オーディションのようで、違和感たっぷりだ。

 [2011年2月13日11時1分

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