<ソフトバンク10-8西武>◇17日◇福岡ヤフードーム

 おかわり返しだ!

 ソフトバンク松田宣浩内野手(27)が、プロ初のサヨナラ弾となる2ランをかっ飛ばした。西武に終盤5点差を追いつかれる嫌な流れの中、9回裏にこの日2発目のアーチ。西武中村に2被弾して大敗した前日のリベンジを果たし、両チーム毎回安打の超乱打戦を締めくくった。

 ボールをとらえた瞬間、松田が両手をつきあげ一塁ベンチにガッツポーズした。同点で迎えた9回裏。2死二塁で、西武シコースキーが投じた外角高め直球を迷わずフルスイングした。打球は大歓声の中、左中間席に着弾。自身初のサヨナラ本塁打をかみしめるようにダイヤモンドを一周し、ホームベースでナインから手洗い祝福を受けた。

 「甘い球を積極的にいこうと思った。オーティズがつないでくれたので、自分もつなごうと思った。(ガッツポーズは)本塁打じゃなくて、サヨナラが決まったと思ったから。入るとは思わなかった」

 興奮気味に振り返った1発で、チームを救った。2回にも勝ち越しの1号ソロ。先発岩崎が好投し、終盤まで試合を有利に進めた。だが、8回に中継ぎエースのファルケンボーグがまさかの3失点。9回には守護神の馬原が同点弾を浴びた。9回の時点で3時間半を経過。1点取らなければ負けに等しい同点となるだけでなく、馬原の傷がさらに深まるところだった。

 「どんな形であれ勝たなきゃいけないと思った。岩崎にも、何としてもチームの勝利をプレゼントしたかった」

 前日の西武中村へのお返しとばかりに2発を放ったが、今季は役割を十分に理解し実践している。超重量打線の8番。今季1号ソロを放った後の第2打席では、四球を選び4得点につなげた。初球からフルスイングする積極性が持ち味で、昨季の四球数はわずか14。今季は、裸眼で1・5の視力を持ちながらコンタクトレンズを使用してまで、選球眼を高め打撃の確実性を求めている。

 「下位打線を打っているので。今年は1試合に1つは四球を取りたい。8番はやりがいがある」

 ここまで6試合で1試合を除いて安打をマークし打率は3割3分3厘、四球はすでに4つ選んだ。2本塁打はチームトップだ。チームの窮地を「おかわり弾」で救った男が、8番の位置から超強力打線を引っ張っていく。【倉成孝史】