<オリックス2-0楽天>◇8日◇京セラドーム大阪

 楽天下柳剛投手(43)が粘りの投球を見せながら無念の2敗目を喫した。オリックス戦で今季2度目の先発。2回に無死満塁のピンチを招いたが犠飛による1点にとどめ、3回は無死から連打を浴びて2点目を失ったが後続を封じて大量失点を防いだ。中盤は危なげなくアウトを積み重ね、6回2失点で降板。打線の援護がなく開幕2連敗となったが、ベテランの投球術が確かな存在感を示した。

 下柳の技は追い込まれてこそさえた。2回、4~6番に3連打を浴びて無死満塁の大ピンチ。それでもバルディリスの内角を鋭く突いて中飛に仕留め、伊藤の右犠飛で先制は許したが赤田からはワンバウンドのフォークで空振り三振を奪った。3回は無死から坂口の右中間三塁打と大引の適時打で2点目を奪われたが、その後は後藤からのクリーンアップを簡単に3人で切って取った。大量点になりかねない場面をいずれも最少失点で乗り切った。

 ペースをつかむと後は危なげなかった。4回無死一塁で迎えたバルディリスは、今度は外角低めのシュートで誘い遊ゴロ併殺。6回には李大浩の強烈なピッチャー返しも涼しい顔でつかんだ。6回2失点に要したのは73球。1死球は与えたが四球はゼロだった。佐藤投手コーチは「試合はつくったし、持ち味は出したんじゃないの」と前向きに評価。「点数はなあ…。ブルペンは悪くなかったけど、あの回(2、3回)だけ高くいった」と勝ちにつながらなかったことを惜しんだ。

 移籍後初登板だった1日のロッテ戦は5回途中3失点で敗れた。この日で2連敗となったが、内容は確かな上昇カーブを描いている。「粘れたのでは」と問われた下柳は「(本当に)粘ってたら、0点じゃないの」と無表情で納得のいかない様子をにじませた。それでも内外角へ投げ分ける制球力は、5月に44歳になるプロ22年目の左腕が健在であることを示していた。

 下柳からバトンを受けた小山伸、ハウザーはいずれも3者凡退で抑えた。完封を許して敗れ、3連戦は1勝1敗1分けで終えた。この3試合はいずれも2失点。投手陣は調子を上げているだけに、前日7日のように打線がつながれば勝利はついてくる。その中で、頼れるベテラン下柳の存在感も日を追うごとに増している。【大塚仁】