<オールスターゲーム:全セ3-1全パ>◇第2戦◇20日◇神宮

 ソフトバンク千賀滉大投手(20)が衝撃の球宴デビューを飾った。全パ2番手として4回から登板。全セの強力打線を自慢の快速球とフォークで牛耳った。4者連続を含む5奪三振と「Kラッシュ」。2回を投げて無失点で敢闘選手賞にも輝いた。

 腕を振るたびどよめきを誘った。初の球宴、初の神宮。5回。すでに2三振を奪っていた千賀がギアを上げた。「対戦したい」と願っていたヤクルト・バレンティンだ。「本当に巡ってきた」と武者震いした。

 32本塁打のセ本塁打キングに直球を4球続け、カウント2-2。「だいぶファウルされたので無理だと。バテました」。変化球に切り替えたが、フォークをファウルされ、スライダーは高めに抜けた。ならばと直球勝負と腹をくくり、9球目の外角低め150キロで空を切らせた。ブランコ、そしてMVP獲得の新井貴も空振り三振。普段は打席で怖い顔を向けるパの強打者たちに拍手で迎えられた。

 最速は154キロ。全36球のうち29球が直球で計測値では1球を除き150キロを超えた。持ち味を出し切った。99年第1戦の西武松坂以来となる1試合5奪三振に「できすぎ」とはにかんだが、「外国人のパワーヒッターからは狙おうと思った」とずぶとさも。4回2死のマートンから4者連続、全セの主軸をなで切った。「1軍では抑えなきゃというのがあったけど、最初の頃の楽しむ気持ちをまた、持てました」。

 天国と地獄を味わう濃厚な前半戦だった。敗戦処理から一時抑えまで成り上がり、連続イニング無失点を34回1/3と、すべて救援登板ではパ最長記録に並んだ直後、4戦連続で救援失敗。7月上旬に2軍落ちした。「なんでスライダーがシンカーになるのだろ…」。下半身から体の力を絞り出せなくなった。球宴も迫って焦る中、フォーム修正して戻ってきた。

 試合後、敢闘賞に選ばれた。「本当に大きい。貯金します」。年俸650万円、1軍最低保障の1500万円との差額をもらう右腕には大きな賞金100万円だ。何より「シーズンもこうして投げたい」と自信を取り戻したのが大きい。全パを率いる栗山監督が漏らした言葉を聞き、もっと自信を持てばいい。「これできっかけをつかんで後半戦に勢いがつくと困る」。【押谷謙爾】

 ▼千賀が2回を投げ5奪三振。2イニング目の5回は3者三振。1イニング3奪三振は11年<3>戦江尻(横浜)以来で過去多数あるが、1ゲーム5奪三振は99年<1>戦松坂(西武)以来、2イニングでは91年<1>戦工藤(西武)以来となる。4者連続三振は88年<3>戦西崎(日本ハム)以来、25年ぶり。