<オープン戦:日本ハム7-1ロッテ>◇22日◇名護

 ロッテは新人の当たり年だ!

 ドラフト2位、吉田裕太捕手(22=立正大)が右中間への本塁打を放った。3回の第1打席、日本ハム大谷の直球を打った。伊東勤監督(51)の愛弟子として、密着指導を受け続けたキャンプの成果を発揮した。先発して好投した1位の石川歩投手(25=東京ガス)と、話題独占の5位、井上晴哉内野手(24=日本生命)に続き、吉田が存在感を示した。

 伊東監督の愛弟子に、待望の1発だ。3回の第1打席、2ボール2ストライクと追い込まれた吉田は、高めの直球に食らいついた。「芯を食った」という当たりは、大きな放物線を描き、バックスクリーンの右に飛んだ。「風に乗ってくれました」と、謙虚に柵越えした打球を振り返った。

 このキャンプで、伊東監督の時間を最も独占したのが吉田だった。マンツーマンで打撃からキャッチングまで見てもらった。キャンプ初日、ガチガチに固まり、スムーズに動かない上半身を「よろいを着てるみたいだ」と笑われた。力んでしまうのを矯正するため「足をあげてみろ」と指導された。意識を上半身から別の場所に移すための策だと、伊東監督は説明した。そこから20日間かけて、少しずつ、よろいを脱いだ打撃もできるようになった。

 その密着指導の中で、吉田は伊東監督のミットを手にはめさせてもらったことがあるという。これこそが愛弟子である証し。伊東監督は「自分のミットを他の人にはめられるのは嫌だった。それどころか触らせたくもなかった」というこだわりを持った人。それを許可されたのは、現役ではないというのを差し引いても特別なことだ。吉田も「使いやすいミットでした。次は同じ形を注文したいと思ってます」と、魂を継承していく意思を口にした。

 自慢は体の強さだ。1月の身体測定では、体幹の強さは5段階評価の5を飛び抜けていた。トップアスリート並みと絶賛された。ロッテの選手では過去にいない数値という。「体だけは強いです。僕はそれが売りなので、いくらでも練習ができる」と、キャンプでは最後まで室内練習場で打ちこんだ。伊東監督の教えを寸分もらさずに受け止めるための、器の強さはある。

 前日の休日は「することがなかったので」と午後2時から寝た。夕食にだけ起きて、また寝た。オフを大切にした分、絶好のコンディションで試合を迎えられた。この日、伊東監督からは「出合い頭。相手が当たるところに投げてくれただけだろ」と言われてしまったが、めげない。「しっかり練習したい」。いつか、本当に認めてもらえる活躍を、と誓っている。【竹内智信】

 ◆主な捕手の師弟

 伊東監督は現役時代、西武で82~03年の22年間プレー。入団5年目の86年から9年間は巨人V9時代に名捕手だった森監督の下、日本一6度の黄金期を支えた。04年に西武監督に就任すると、06年には炭谷を高卒新人捕手として51年ぶりに開幕戦スタメンで起用した。通算2097安打の古田はヤクルトの現役時代、1年目の90年から9年間、野村監督にリードなど理論を伝授された。昨季、楽天を日本一に導いた嶋も07~09年に野村監督の影響を受けた。<吉田裕太(よしだ・ゆうた)アラカルト>

 ◆生まれ

 1991年(平3)7月21日、千葉県流山市生まれ

 ◆出身

 日大三高から立正大を経てロッテに入団した。立正大では法学部に在籍したが、法律には詳しくない

 ◆始まり

 小3の時、サッカーをやっていたがGKをやらされるのが嫌で、野球を始めた◆趣味

 筋トレが趣味で、筋力の強さと動きの硬さから「メカ」や「ロボ」と呼ばれる

 ◆目標

 今年の書き初めには「正捕手獲り」と書いた

 ◆おみくじ

 今のところ柴又帝釈天で引いたおみくじは2年連続で凶

 ◆サイズ

 183センチ、94キロ。右投げ右打ち