<オープン戦:ロッテ1-0西武>◇9日◇QVCマリン

 「クラッチ吉田」を襲名だ。ロッテのドラフト2位、吉田裕太捕手(22=立正大)が西武戦で決勝打を放った。0-0の7回2死二、三塁。2ボール2ストライクからの内角直球を左前にはじき返した。今季の本拠地初勝利を決めた一打に、「1、2打席は三振していたので、何とか打球を出そうと打席に入りました。絶対打ってやると思ってました」と力を込めた。

 まさに“先制男”だ。1日阪神戦(安芸・練習試合)での藤浪からの左前打、7日阪神戦(甲子園)で榎田から打った二塁打は、いずれも先制打。そして、2月22日の日本ハム戦(名護)で大谷から打った1号ソロも、先制アーチだった。勝負強さで猛アピールするが、「たまたまです。どんな打席でも、自分は集中して結果を出さなければいけないので」とおごらず、置かれた立場を自覚している。

 正捕手里崎に次ぐ2番手争い。その中で吉田の存在感が高まっているのは確かだ。中村バッテリーコーチは「声も出てるし安心して見られる。吉田が刺激になって、捕手全体にいい競争状態が生まれている」と評する。その期待の表れ?

 か、この日の登場曲は同コーチが「元気になる曲と思って」と、テレビアニメ「キン肉マン」の主題歌をサプライズで用意。筋トレ好きの吉田も、打席で苦笑いのまさかのセレクトだったが、親心に結果で応えた。

 初のフル出場で、守備でも無失点リレーをリードした。「チャンスで打てる打者になりたい。1軍に残れるように全力で頑張ります」。勝負強さに磨きをかけ、開幕1軍、そして里崎の後継者を目指す。【佐竹実】