その瞬間、そこに侍ジャパンはいなかった。WBC決勝、歓喜に沸くローンデポパーク。第6回大会を制したのは準々決勝で日本を破ったベネズエラだった。紙吹雪が舞い、どんちゃん騒ぎ。目を赤くして涙を浮かべる選手もいた。

試合終了後、メダル授与が終わると報道陣が一斉にグラウンドになだれ込んだ。トロフィーを掲げるセレブレーションの後、取材はそのままグラウンドで行われた。あちこちで取材が自然発生するカオス下、写真や動画を撮ったり、現地メディアの取材に顔を突っ込んだり。ドタバタで終え、目の前で歓喜の瞬間を見られた幸せをかみしめた。

ただ、やっぱりどこか物足りない。侍ジャパンが決勝の舞台にいないこと。そして優勝したベネズエラはあと1歩のところまで追い詰めた相手だったこと。ベネズエラは疑いようがなく強かった。日本は力負けだった。ただ、そこまで悲観する必要はない。イタリア、米国という強力打線を2点に押さえ込んだ投手陣から5得点を挙げた。一時は3点リードし、勝利も漂わせた。

だからこそ、歓喜のベネズエラナインを取材中も、もし日本が優勝していたら…と考えてしまう。きっととんでもなくバタバタし、深夜まで原稿執筆に追われていただろう。でも侍ナインが歓喜に浸る姿を見たかった。ほとんど知らないベネズエラ代表でも感動するんだから、侍ジャパンならどれだけの感情が動いたことか。

DeNA担当時代の24年、下克上日本一のビールかけを取材した。普段は厳しい勝負の世界に身を置く男たちが、我を忘れて大はしゃぎする姿は取材する側も心が動かされる。次回大会の最後、侍ナインがベネズエラナインのように心から喜んでいる未来を願っている。【小早川宗一郎】

【WBC】侍倒したベネズエラが米国破り初優勝 米国、8回にハーパー同点2ランも力尽きる/詳細