WBC世界フライ級王者内藤大助(35=宮田)と同級3位亀田興毅(23=亀田)が29日、世界戦(さいたまスーパーアリーナ)に臨む。28日に都内で行われた前日計量をリミットの50・8キロでパスした興毅は、ネイル界のカリスマにデザインを依頼した特注デコシューズで2階級制覇と弟大毅(20)の敵討ちを狙う。50・7キロでパスした王者内藤は、興毅の「メンチ切り」を2日連続で受け流し、王者の風格を漂わせた。

 打倒内藤のため、興毅はしっかり「足もと」から固めていた。もともとデコが好きな興毅は、約2カ月前から世界戦仕様の特注リングシューズ作成に着手。黒い生地にクリスタルとシルバーの装飾品をちりばめ、シックな雰囲気が漂う特注デコシューズが、この日までに完成した。

 通常のものより約100グラム重くなっただけで、動きに支障はない。値段は約15万円。デザインを手がけたのはネイル界のカリスマだ。デコレーションブランド「esHOLIC」のプロデューサーも務める迫田愛子さん(28)は「リングシューズは初めて。今年のテーストのロックな、強そうな感じにしました。試合中に取れることはないですね」と説明した。興毅は試作品をチェックし、装飾品の追加をお願いしたほどこだわりを見せたという。

 気合はいよいよピークに達してきた。この日の前日計量では2日連続で内藤に「メンチ切り」。無視されたが「(内藤には)興味ないもん。盛り上げたいって言って、結局何もなかったな。気持ちが小さいんちゃうん」と言い放った。計量パス後は、5階級制覇したパッキャオ(フィリピン)をまねて肉体を誇示。「今までで一番落ち着いてるし、自信もある」と話した。

 相手の内藤は、弟大毅が反則行為などで大差判定負けした07年10月から5度の防衛に成功してきた。35歳の王者に引導を渡すかと聞かれると「そやな。これであいつは終わりや」とニヤリ。「リングに上がったら分かるよ。オレがどれだけ強いか」。特製デコシューズを履いて、内藤と亀田家の因縁に勝利で終止符を打つことを約束した。【浜本卓也】