54歳のマイク・タイソンが「立腹」している。15年ぶりにエキシビションマッチ8回戦でリング復帰する元世界ヘビー級王者タイソンは拳を交える元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.(51)とともにルール問題に不満をもらした。28日(日本時間29日)に米ロサンゼルスで組まれた両者のレジェンド対決に向け、先月28日にリモート会見が開かれた際、1回2分というルールにかみついた。

今回のエキシビション戦は12オンスのグローブを装着し、ヘッドギアはなし。WBCによるリモートスコアリングシステムが導入され、公式戦のように採点するルール。年齢、体重差、ブランクなどを考慮に入れ、安全重視で1回の時間は通常の3分ではなく2分に短縮された。しかしタイソンは「何らかの理由があるのだろうと確信しているが、1回2分というのは女子のラウンドだよな」と不満タラタラ。加えてジョーンズJr.も「まったく幸せではない。我々は女子じゃない。ベストな2人。時間を短くしたところで、我々には何の役にも立たない。興奮しているファンをだますことだ」と同調した。

タイソンは全盛期と同じような真剣ファイトをすると主張してきた。ブラジル人総合格闘技トレーナー、ラファエル・コルデイロ氏と激しいジムワークを重ね、ウエートを絞ってきた。現役ラストマッチとなった15年前の05年6月、ケビン・マクブライド戦で棄権による6回終了TKO負けを喫した当時の体重は104・32キロだったが、現在は96・16キロまで落としたという。タイソンは「オレが最後にこの体重だったのは17~18歳の頃。これまでやってきたことを本当に満足している」と自信たっぷりだ。

YouTubeなどのSNSを通じ、タイソンがミット打ち動画などを投稿すると、大勢のファンから「ビースト(野獣)モード」と絶賛の声も挙がるなど期待値は高い。「オレは戦うつもりだ。ロイが戦ってくれることを願っている。彼が最高の状態だった動画を見ているのは期待しているから。今、若くハングリーな選手とスパーリングしている。うまく調整できている」。2人合わせて105歳マッチ。高齢のエキシビション戦となるものの、タイソン、ジョーンズJr.の希望通り、1ラウンド3分間でファイトにならないものか。もちろん安全重視は最優先だが、血気盛んな50歳代レジェンドによる公式戦さながらの殴り合いを見てみたい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)