ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が、同級7位アントニオ・ニエベス(30=米国)に6回終了、相手陣営の棄権によるTKO勝ちで6度目の防衛戦に成功し、米国デビューを圧勝で飾った。

 井上は1回、開始8秒にファーストパンチの左フックを放つと、同22秒に左から右ストレートのワンツーを2度、繰り返し、早くもニエベスを追い込んだ。同1分21秒に得意の左ボディーを決め、同2分23秒には右ストレートでニエベスをロープに吹っ飛ばした。

 2回には、1分11秒に右ストレートから左ボディー、1分51秒には左フックから右ストレートを当てた。さらに2分39秒にもワイルドな右ロングフックをニエベスの顔面にたたき込んだ。その中、残り10秒を知らせる拍子木の音を、ラウンド終了と勘違いして、いったんコーナーに戻りかけるハプニングもあった。

 3回も11秒に左から右、20秒には左ボディーをねじ込んだ。さらに1分50秒には右、左、右とアッパーを繰り出し、その後も一方的に追い続けたが、長いリーチを生かし、頭からボディーまで覆う、ニエベスのカメのように堅いガードに、決定打を決めきれなかった。

 4回は一転、足を使い、ガードを固めるニエベスを前に誘い出し、空いたガードのスキを狙う動きに出た。1分1秒に強烈な右ストレートを浴びせると、残り10秒で強烈な左ボディーを決めた。

 迎えた5回、井上は勝負に出た。28秒に右ロングフックをニエベスの顔面に浴びせると、58秒には右、左、右、左とフックを連打で浴びせ、ニエベスをロープに追い込んだ。鋭いジャブ3連発でニエベスの上体を起こすと、1分40秒に右アッパーを決め、1分43秒に左アッパーを突き刺して、この日最初のダウンを奪った。そこから強烈な左ボディーを8発、ニエベスのボディーに打ち込み、一気に追い込んだ。

 そして6回、ジャブでニエベスをロー追い込むと、17秒に右、左、右とボディーをねじ込んだ。さらに左右のボディー、アッパーを立て続けに繰り出すと、ニエベスは防戦、逃げを繰り返して一方的な展開に。井上は2分12秒にノーガードになり、誘い出したがニエベスが逃げ続けると、2分35秒にロープに追い込み、右アッパーから左をたたき込んだ。さらに2分40秒、同50秒に強烈な右フックをねじ込んだ。

 この試合終了時に、ニエベスのコーナーから棄権が告げられると、井上は右手を挙げて勝利をアピールした。井上は14戦全勝(12KO)、ニエベスは17勝(9KO)2敗2分け。