最強証明が卒業証書! 米国デビュー戦となったV6戦をKOで飾ったボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が11日、成田空港に帰国した。同級7位アントニオ・ニエベス(米国)が6回終了時に棄権の意思を示す圧倒劇。本場の期待を受けての海外初進出を終え、「ホッとしてます」と微笑すると、「スーパーフライ級で形を残したい」と先を見据えた。

 「形」とは…。「統一戦ですね。王者が4人いて、そこで誰が一番強いか証明したい」。減量の兼ね合いもあり、かねて1つ上のバンタム級転向も視野に入れていたが、今回がスーパーフライ級の一線級ばかりが集まった興行だったこともあるだろう。まだ同じ土俵で最強を知らしめていないことが心残りになった。

 年末に国内で予定する次戦で、その対象となるのは現実的には1人だ。IBF王者アンカハス。同じフィリピン出身の英雄パッキャオのプロモーション所属の25歳は、7月に帝里木下に7回TKO勝ちで2度目の防衛に成功した。WBA、WBCの王者は次戦が決まっており、自然と相手は絞られる。大橋会長は「バンタム級も考えに入れて、検討していきたい」とした。

 米国で期待に応え、「今まで以上に海外でやりたい気持ちが強くなった。オファーがあればまた行きたい」と視線は変わった。その評価をさらに不動にするためにも、次は国内で最強を証明したい。「日本でやる試合も今まで以上に良い試合をしたい」「まだ始まったばかりですから」。海を渡ったモンスター伝説は、これからが本番-。【阿部健吾】