WBAスーパー・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(27=大橋)がスパーリングで魅了した。メインイベントで現WBOアジア・パシフィック同級王者で元WBC世界フライ級王者比嘉大吾(25=Ambition)と拳を交え、最終3回にはヘッドギアを外して接近戦の打ち合いも披露。鋭い右ストレートや連打で技術、スピードで格の違いをみせ、約2500人が集まった観客をわかせた。

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予告していた通りの「ガチ対決」だった。最終3回。井上が装着したヘッドギアを外すと大きな拍手が響いた。緊張感が漂う空気の中、左フック、強烈なワンツーで比嘉を後退させた。ロープを背にしても余裕の表情、相手パンチを見極め、左右のアッパーを連打し、あごに右フックを打ち抜いた。「しっかりガチで。真剣度は100%でした。足を運んでくださる方のイベントなので責任もあるし、満足して帰ってほしかった」。スパーリング途中から比嘉の顔は赤く染まった。

スーパーフライ級時代の17年に比嘉とスパーリングした経験がある。自ら指名し、約4年ぶりのスパーリング対決となったものの「あの時と印象は変わらない。正直、このスパーにメリットはないし、レベルの差をみせないといけない。互角なら自分の評価は保てないと。良い緊張感がありました」と振り返る。構えを左右スイッチし、1、2回は距離を保ちながらワンツーや左ボディーをねじ込むなど自身の技術を駆使する余裕もあった。

昨年10月、米ラスベガスでモロニー(オーストラリア)に7回KO勝ちした井上は、次戦でIBF世界同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)との指名試合が濃厚となっている。ダスマリナスが左構えのため「サウスポーに(練習相手を)切り替えていく」とキッパリ。着実に準備を進める姿勢を示した。【藤中栄二】

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