ボクシングWBC世界ヘビー級前王者で同級1位のデオンテイ・ワイルダー（35＝米国）が静かな口調で現王者タイソン・フューリー（33＝英国）にプレッシャーをかけた。9日（日本時間10日）、米ネバダ州ラスベガスのT－モバイルアリーナでフューリーとの3度目対決による王座返り咲きを狙うワイルダーは6日（同7日）に同地で両者そろって会見。ヘッドホンを両耳に装着し、スマホ持参で記者会見場に姿をみせた。静かに着席し「すべての重圧はフューリーにかかっている」と静かな口調で言い放った。

壇上に用意された会見用のいすに着席することなく、軽い興奮状態で話す王者とは対照的にワイルダーは冷静だった。20年2月の2度目対決時にフューリーがグローブに細工をしたという不正行為の主張を変えることなく「（王者が）真実を知っているなら真実が王者を自由にするだろう。オレには重圧はない。失う者は何もないし、すべてが得るもの」と淡々とした表情で話した。

自らの胸中について「オレのエネルギーはオレ自身の心のようだ。とても暴力的になっている。後悔はしていない。オレは自分の信じていることを信じ抜き、墓まで持っていく」と主張。会見終盤に向けて王者側がヒートアップする口論となったが「たくさんのことを順番に話してきた。世界が知る必要があることで、自分も提示できることがたくさんあるが、沈黙は黄金だ」と多くを語らなかった。