1日に79歳で亡くなったアントニオ猪木さんの愛弟子、プロレスラーの藤波辰爾(68)が2日、都内の猪木さんの自宅を弔問し、在りし日の思い出を振り返った。

1日午前中に訃報を知り、この日はプロレスラーの長男LEONA(29)ら家族とともに、猪木さんと対面した。

「入り口に入ったとたん、猪木さんの寝顔が見えたんで、猪木さんのところに一目散に行って。でも、見たら近づけなかったですね。涙が出た。昨日は自分でしっかりしなきゃ、っていうのがあったんだけど、やっぱり見てしまうとだめでした」

穏やかな顔を見て、寂しさがつのったが「長い期間、病魔と闘って、これで少し楽になれたのかなと。そういうふうに自分で解釈するしかないです」と気丈に話した。

最後に会ったのは今年8月。猪木さんは「うまいうなぎが食べたい」と話していたという。

「今度うまいもの食いに行こうよ、って。もちろん猪木さん自身は食事の制限があるんだけど、家内が手料理を食べさせたいと。『うまいうなぎが食べたいんだ』『今度お持ちします』って。プロレスのことに関しては、僕はあまり触れなかったですね、あえて」

安らかに眠る猪木さんの顔に触れ、頭を触ると、猪木さんの付け人をしていた頃の思い出がよみがえってきた。

「お風呂場で自分たちが背中を流してる時にシャンプーもしていたんだけど、目をつぶれば頭の形まで自分の記憶に残っていて、本当にそれが懐かしく。40~50年ぶりに、猪木さんの頭を触りました」

藤波が現役を続ける理由は、猪木さんの言葉があるからだ。「本当に自分の人生を変えてもらった恩人。猪木さんの『頑張れよ』っていうひと言が、自分を今ここまでのレベルに上げてくれた。だから僕が現役にこだわるのはそういうところ」。これからも「リング上は戦いなんだ」という猪木さんの教えを胸に、リングで戦い続ける。