プロボクシングWBA世界バンタム級王者井上拓真(28=大橋)が「限界突破」をテーマに掲げ、井上兄弟初の世界王座同時防衛を狙う。5月6日、東京ドームで同級1位石田匠(井岡)の挑戦を受ける。11日には横浜市の所属ジムで練習を公開。同興行メインでは4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥(31=大橋)がWBC同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)と防衛戦に臨む。19年11月以来、約4年6カ月ぶりの兄弟同時世界戦となる。

公開練習で着用したTシャツにはペットのヒョウモントケガモドキ「レビンくん」のイラストとともに「BUST THE LIMIT(限界突破)」の文字が刻まれていた。井上は「まだ満足していない。殻を破るではないが、限界を超えたい」と説明した。

2月24日、元V9王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)をKO撃破してから約2カ月半という短期間での2度目防衛戦となる。挑戦者の石田とはサイズ差も大きい。身長は井上が163センチに対し、石田は173センチ。リーチも井上が163センチに対し、177センチという差がある。越えなければならない壁をすべて突破する意味を込めている。

短期間でのV2戦を決めたのも兄尚弥との東京ドームで同時世界戦を実現させるため。井上は「前回やった時は自分が負けてしまった。兄弟同時世界戦は前回よりも自信があるから楽しみ。最高のバトンを兄につなげたい。(東京ドームに)入ったことがないので分からないが、5万人の中で戦えるのでモチベーションは高い。何もさせず、終盤に倒したい」と気合を入れ直した。【藤中栄二】