ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が9月に首都圏で、元IBF世界同級王者T・Jドヘニー(37=アイルランド)との防衛戦に臨むことが29日、確実となった。

最有力候補のIBF、WBO同級1位サム・グッドマン(25=オーストラリア)が7月に母国でノンタイトル戦を発表したことを受け、井上陣営は現WBO同級2位ドヘニー陣営との対戦交渉に一本化した。井上は同日、横浜市の所属ジムで本格的に練習を再開。正式発表まで土台作りを続ける方針を示した。

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穏やかな表情で、井上が9月の防衛戦に向けて動き出した。6日に東京ドームで元2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKO撃破。約3週間のオフを経てジムワークを開始し「精神的な疲れを取る、何も考えずに過ごした。体力的、肉体的に全然、問題ないが、自分の感じていないストレスなどをフラットにしていた」と説明。リセット終了を強調した。

ネリ戦直後、井上は試合視察していたIBF、WBO世界同級1位のグッドマンを呼び込んだ。両者の対決が確実視されたが、この日、グッドマンが母国で会見。7月10日、WBC世界同級8位チャイノイ・ウォウト(26=タイ)とノンタイトル戦に臨むと発表された。井上は「『ボクシングあるある』だなと。(リングへの呼び込みは)自分が先走ってしまった。試合前に聞いていた話とは…誤解がありまして。どうやら全然、違っていました」と苦笑いを浮かべた。

所属ジムの大橋秀行会長(59)はグッドマン戦実現について「今の状況は未定。まだ交渉の余地は残している」と慎重に言葉を選んだが、関係者によれば、既に元IBF世界同級王者ドヘニーにターゲットを切り替え、対戦交渉を一本化したという。ドヘニーは6日の東京ドームの第1試合で無敗の新鋭ブリル・バヨゴス(フィリピン)から計3度のダウンを奪って勝利。23年3月のグッドマン戦で判定負け後、3連続KO勝利中と絶好調を保つ。

井上は「ドヘニー選手も1人の対戦候補として挙がっている。頭の片隅にあるが(大橋)会長が言うように、これから交渉に進むと思う。(構えが)右か左かだけ分かっていればスパーリングもやりやすい。本格的にイメージしていくのは1カ月半程度。全然、焦りはない」と口調を強めた。 確かに次期防衛戦まで3カ月以上の期間が残っている。井上は「今はフラットな状態でスタートしようと思っている。(モチベーションの変化は)もう、ないですね。誰が相手でも強さを見せるのは変わりないかなと思う」と、最強王者の風格を漂わせた。