23日にさいたまスーパーアリーナで行われた格闘技イベント「ONE172:武尊VSロッタン」で、ONEフェザー級ムエタイ世界王者の強豪タワンチャイ・PK・センチャイ(25=タイ)を3RTKOで下してONEフェザー級キックボクシング暫定世界王座を初戴冠した野杁正明(31=team VASILEUS)が25日、VASILEUS GYMでメディアに対応。「子供たちも喜んでくれましたし、嫁もずっと喜んで、本当に心の底から喜んでくれたんで、家族のために頑張って良かったなって心から思います」と、下馬評を覆しての勝利に表情を崩した。
そして野杁は、ロッタンに1RKO負けした盟友・武尊についても言及。衝撃の告白を行った。野杁は「これを話すことで後から怒られることもあるかもしれないんですけど」と前置きしてから「もう本当に万全な状態じゃなかったんですよ、武尊君は。ずっと調子が良くて、追い込みも最高の状態をつくっていたと思うんですけど。試合の2週間前に2カ所骨折してて、実は。あばらと胸骨を骨折してて。もちろん練習はできないですし、呼吸すらままならなくて。でもジムに来て軽く動いたりするんですけど、すぐうずくまって、動けない状態がずっと続いていて」と明かした。関係者によると武尊はスパーリングで左の肋骨(ろっこつ)と胸骨を骨折し、全治7週間の診断を受け、ドクターストップがかかった状態だったという。
野杁はこの時ばかりはぐっと涙をこらえながら「僕としては世紀の一戦、ロッタン選手との試合はやっぱり万全な状態で試合してほしかった。もろくなったとか、いろんなことを言われてると思うんですけど、武尊君はあんなもんじゃないんで、本当に。まだまだ全然できると思いますし。僕は武尊君はONEのベルトを巻ける人間だと思ってるんで。武尊君が今回、試合終わって『実は2カ所折れてたんです』って絶対言わないと思うんですよ。でも誰かが言わないとそれって分からないじゃないですか。この後、武尊君から連絡があって『何で言うの?』って言われるかもしれないですけど、それを覚悟の上で僕は皆さんにお伝えできればと思って」と、武尊が隠してきたケガに言及した理由を説明した。
野杁は再び自分のことに戻って「ONEに参戦するようになってから、海外のファンの人の反応がすごく多くて。今回の試合も終わってから、一気にインスタとか開く度にフォロワーがどんどん増えていって。しかもほとんどが外国人の方なんですよ。僕、英語できないので英語も読めないし、英語じゃない言葉とかでメッセージをいただいたりして、本当に戦っている舞台が世界なんだなって、改めて思います」と笑顔を見せ、SNSのフォロワーが一気に2万人ほど増えたことを明かした。
野杁は強豪タワンチャイの印象についてもあらためて振り返り「ミドルよりローとインローの方が衝撃でしたね。本当に痛くて。僕、ローを食らって今まで痛いって思ったことはなかったんですけど、試合中も痛かったですし、今でも痛いです。特にインローはちゅうちょなく思い切り蹴るんで。1発目をもらった時に『これはやばいな』って思ったのが、試合中の出来事です」と説明。
それにもかかわらず前に出続けたられたことについては「勝ちたい気持ちが一番強かったんじゃないですかね。我慢比べなら僕の方が絶対強いと思ってたので。痛い攻撃をお互い出して、どっちかがギブアップするんだったら、絶対にタワンチャイ選手の方が早いって思ってましたし。足痛いですけど、でも僕、おなかと足では絶対に倒れないんで」と力を込めた。
今後については「僕の1個上にいる選手はただ1人だけなんで。今のところの目標はそこだけですね」。時期は未定だが、正規王者スーパーボン(34=タイ)との統一戦を視野に入れていた。【千葉修宏】

