荒れる秋が大荒れになった。大関高安(27=田子ノ浦)が小結玉鷲に初黒星を喫した際、右太ももを負傷した。肉離れで、関係者によると休場を決断。高安の休場は15年秋場所以来2度目になる。西前頭4枚目の宇良も平幕貴景勝に突き倒された際に右膝を痛めた。3横綱不在の中、実力と人気の屋台骨を支える2人が負傷し、相撲協会にとって弱り目にたたり目となった。三役以上の全勝は横綱日馬富士1人となった。

 まさか、高安までも-。昭和以降、初めて3横綱が初日から休場した今場所。優勝争いの期待が懸かった大関も、負の連鎖にのみ込まれた。都内の病院で右太ももの肉離れと診断された。関係者によると、やむなく休場を決断したという。

 防戦一方の相撲だった。2連敗中の玉鷲に押し出されて、左半身となって右足を俵にかけた。その粘りが負担を掛けた。土俵を割ると、初黒星に館内からはため息が上がった。だが、なかなか中に戻れず、戻っても足を引きずる姿によってすぐに、どよめきへと変わった。歩けずに付け人を呼び、車いすも求めた。「ブチッといった」「パーンと音がした」。そう漏らして右太もも内側をさすった。

 直行した診療所の帰りは、歩いて車に乗り込んだ。「そんなに悪くない。大丈夫」と弱音は吐かず、打ち出し後は8日に急逝した世話人の友鵬さんの通夜のため、東京・江東区の大嶽部屋へと向かっていた。だが、その後に向かった病院で、重傷であると診断された。電話で話した師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「やったばかりなので、明日の朝の様子を見て決めたい」と言葉を濁したが、半身で残す姿に「一番悪いくせが出た」と指摘した。

 3横綱と1大関の休場は99年春場所の若乃花、貴乃花、曙の3横綱と大関千代大海以来18年半ぶりとなる。公傷制度が廃止された04年初場所以降、最多の幕内5力士が不在で始まった今場所。そこに期待の大関までも…。荒れる秋場所は、一向に晴れる気配がない。【今村健人】

 ◆八角理事長(元横綱北勝海)の話 高安はどこを痛めたか(が問題)だ。玉鷲を、うまくつかまえようとしたが押し勝つぐらいの気持ちが欲しかった。ケガばかりは仕方がない。ケガをしない体作りは本人しかできない。日々の鍛錬が必要。荒れている(場所だ)が日馬富士はいい緊張感を崩さずにやってほしい。

 ◆幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)の話 自分もやったことがあるが、大きいの(筋肉)を切っていたら時間がかかる。優勝候補として一番、期待していただけに心配だ。