大相撲の夏巡業は16日、青森・八戸市で行われ、古くから相撲どころとして知られる、青森県出身力士が会場を盛り上げた。

 同県中泊町出身の前頭阿武咲(22=阿武松)は、朝稽古の最後にぶつかり稽古で大関高安に胸を借りた。約7分間、胸を借りる間に砂まみれになり、観衆から大声援が起きた。「やっている最中は全然聞こえなかった。でも、ありがたいですね」と感謝した。

 高安には、今回の巡業中に三番稽古に何度も指名されており「(1月の初場所で)ケガをしてから全体的に力が落ちている中で、大関のおかげでだいぶ戻ってきた実感がある。ケガをしたら、という恐怖もなくなってきた」と、再び感謝した。また、中退した三本木農高相撲部時代は、この日の会場となった八戸市体育館に隣接する土俵で夏合宿を行っていたことも明かし「懐かしいですね」と、笑顔で話した。

 深浦町出身の十両安美錦(39=伊勢ケ浜)は、家族が見守る前で、同県鰺ケ沢町出身で弟弟子の誉富士にぶつかり稽古で胸を出したり、申し合いで名乗りを上げたりと、精力的に汗を流した。また、片道4時間かけて実家にも寄るなど親孝行もした後の巡業参加となったが「毎年、こうして青森に巡業で来ることができて、大勢の人が集まってくれてありがたいよ」と、集まった約2500人の観衆らに感謝していた。