元十両の東幕下3枚目貴ノ富士(21=千賀ノ浦)が7番相撲で東幕下9枚目美ノ海を破り、5勝目を挙げ、春場所での再十両を確実にした。

まわしを取りたい自分と、与えたくない相手との長い相撲の末、かいなひねりで勝負を決めた。「動きが止まった時に“たとえ十両に上がれなくても、この取組だけは負けたくない”と思いました」と話した。

昨年初場所で新十両を決めながら、同春場所中に支度部屋で付け人への暴行事件を起こし、謹慎処分を受け、幕下に落ちた。同九州場所前に部屋も移り、今場所はしこ名を「貴公俊」から「貴ノ富士」に替え、心機一転で臨んだ。

この日の支度部屋では「この感じは(新十両を決めた昨年初場所以来)1年ぶりだな」と思い、集中しきれなかったというが、土俵に上がると「やるしかない」と切り替えたという。

「この1年は精神的にも、体の作り方を覚える面でもいろいろ反省もあったし、勉強にもなりました」という。再び関取となる春場所へ。「付け人のことも思いやって、やりやすいようにやってあげたい。相撲は余計なことを考えず、前に出て、粘り強く。お客さんに“強くなった”と思われる相撲をとりたいです」と話した。