東幕下5枚目美ノ海(ちゅらのうみ、25=木瀬)が幕下優勝を決め、昨年名古屋場所以来5場所ぶりの再十両を有力にした。

元横綱大鵬の孫、東51枚目納谷と勝った方が優勝の全勝決戦。立ち合いから先手先手と攻めて押し出した。

「突きが強いイメージがあったので、低く当たってまわしを取る、自分の型になれば、と思った。もう少し荒々しく来るかと思ったら、意外とスーッと来ましたね」。相手は強豪埼玉栄出身で、元大横綱の血を引く“ビッグネーム”とはいえ、初土俵から1年ちょっとの19歳。自分は日大で学生相撲でもまれ、初土俵から丸3年で十両も経験した。「自分は幕下上位に2年ほどいるんで(納谷は)まだまだ早いという思いも少しありました」。角界の先輩の貫禄を見せつけた。

“兄弟関取”を狙う効果もある。弟の木■海も順調に番付を上げ、今場所は東7枚目で勝ち越した。来場所の番付は、新十両を完全に射程圏に入れた位置まで来る。「弟に負けない、というのはない。弟は僕より強い。それがわかってますから。当たりは十両でもトップクラスと思う。今場所から一緒に稽古するようになって、あの当たりを受けていたことが、場所で生きたと思います」と喜んだ。

新十両場所の昨年名古屋場所は5勝10敗。1場所で陥落した。原因を「慣れですかね。地方場所で環境の違いもあった。あたふたして、何もできずモヤモヤすることが多かった」と分析する。師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)には「弱いから落ちたんじゃない。だから“もっと強くならないと”と思ったりして、やってきたことを変えるな」と言われた。「今度は楽しく相撲をとりたい」。確かな手応えを胸に、関取の足場を固めるつもりだ。

※■は崎の大が立の下の横棒なし