4場所連続休場から復帰した三役経験者の西幕下56枚目阿炎(26=錣山)が、東幕下15枚目時栄(24=時津風)を破って、7戦全勝で幕下優勝を果たした。リーチを生かしたのど輪で一気に押し込むと、流れよく引き落とし。実績の違いを見せつける完勝だった。

阿炎は昨年7月場所中、日本相撲協会が作成した新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反し、同年秋場所から3場所連続休場の処分を受けていた。初日の1番相撲は、昨年7月場所6日目以来、233日ぶりの本場所の土俵だった。

7番取り終えて「今場所は相撲を取れる喜び、そういうものも学ばせてもらった場所。(今までの各段優勝とは)違う部分もあるかなと思う。すごく精神的にも肉体的にも体力を削られた、削って取ることができました」と振り返った。

けがで番付を落としたわけではなく、本来の実力を考えれば、幕下優勝は周囲の期待通りだったかもしれない。それでも「師匠にも部屋の方にも『勝って当然なことはない』と言われてきた。当たり前じゃない。全力で相撲に向き合うという気持ちではいた」と謙虚に話した。